その他の研究成果
国家元首の免除
要旨今日、「共存の国際法」としての免除の国際法に対抗する概念として、国際共同体の共通利益である「国際法上の重大犯罪に対する不処罰の終焉」を実現する「協力の国際法」が生じつつある。だが現状では、「協力の国際法」と「共存の国際法」は共存し、主権国家中心の国際社会構造を維持する以上、依然、後者が中心的役割を担う。ゆえに、国家間の水平的法律関係の基盤を背景としているからこそ、個人や国家に対する国際法の垂直的法律関係の実現も難航する。協力の国際法が国家に対して正当で衡平なものと評価されない限り、それは国家にとって介入の国際法と映る。国際刑事裁判所と非締約国国家元首の免除の問題も、法的解決というよりは政変による時間的解決にとどまっているように思われる。主権に阻まれずに個人の刑事責任の追及を行うことで被害者の人権救済を行おうという協力の国際法の成否は、国際刑事裁判所が説得的にそれを展開できるかどうかにかかっている。
EUにおける動物福祉と宗教の自由
要旨Case C-336/19 Centraal Israëlitisch Consistorie van Belgiëに関する判例研究。EU司法裁判所が、宗教の自由よりも動物倫理に重きをおいた事件。
中国の党政機構改革と「法治」
要旨今回の党政機構改革は、「徳治」と「政治」の徹底のため、関連する統括機構の権限を集中・強化し、その命令系統を明確にする、というものに尽きる。逆に言えば、命令・統括権限の集中・明確化により、「政治」的責任追及を強化することで、「徳治」すなわち党中央ひいては習近平への「絶対忠誠」に基づいて上級指示を「貫徹執行」することを確保しようとするものである。
日本のCOVID-19への対応。科学的根拠に基づくガバナンスの弱さの問題 (英語)
要旨日本の民主主義は安定しており、ポピュリズムも抑えられていたにもかかわらず、COVID-19パンデミックへの対応が他のアジア民主主義国の成功体験よりも限定的であった理由を分析している。情報への信頼、科学的根拠に基づく意思決定、全体的な透明性、東京オリンピックをめぐる政策などが取り上げられている。一方で、市民の行動や政府の法の支配の尊重については肯定的に評価されている。
日本への影響力を高めるための中国による巧妙な努力(英語)
要旨本文論では、中国の海外におけるメディア戦略について触れている。まず、中国が海外でのプロパガンダキャンペーンをローカライズしようとしているが、その成功は限定的である。次に、日本と中国のプロパガンダとの関係を分析し、この問題が取り上げられたのはごく最近のことであるとし、中国共産党が日本のメディア空間にどのような影響を与えているかについて、例えば、金融メディアなどの例を挙げている。
中国資本はまだチリの民主主義を侵食していない (スペイン語)
要旨チリの腐食性資本に関するFPPの出版物についての論文。ハニグは、調査結果についてインタビューを受けた主要な人物。 「非民主主義国」からの投資に焦点を当て、彼らが「腐食性資本」と呼ぶもの、つまり「その国の制度的弱点を利用して参入し、長期的にその国の民主主義を侵食する可能性を持つ」資本に関連する潜在的リスクを分析している。ハニグは調査結果についてインタビューを受けた主要な人物。
真実の価値について(スペイン語)
要旨この出版物では、2021年のオスロ・フリーダム・フォーラム・サミットとその会議で議論されたトピックについてコメントし、中南米にとっての重要性を明確にしている。
AUKUSを起爆剤に、日本の戦略をさらなる考える(英語)
要旨核武装をめぐるオーストラリア・イギリス・アメリカ(AUKUS)の関係と、来るべき国家安全保障戦略の見直しに対し、軍備競争の激化と拡散の防止における日本の立場を取り上げている。
「ソフトパワーとシャープパワー」、「デモクラティック・ピース」、「市民社会とグローバル・ガバナンス」
要旨安全保障に対してソフトパワー、民主主義、市民社会が与える影響を分析する。