その他の研究成果

グローバルリスク・危機管理プログラム

AUKUSを起爆剤に、日本の戦略をさらなる考える(英語)

著書名秋山信将
出版日2021年10月13日

要旨核武装をめぐるオーストラリア・イギリス・アメリカ(AUKUS)の関係と、来るべき国家安全保障戦略の見直しに対し、軍備競争の激化と拡散の防止における日本の立場を取り上げている。

民主主義・人権プログラム

「ソフトパワーとシャープパワー」、「デモクラティック・ピース」、「市民社会とグローバル・ガバナンス」

著書名市原麻衣子
出版日2021年9月

要旨安全保障に対してソフトパワー、民主主義、市民社会が与える影響を分析する。

「忘れられる権利」と検索エンジン事業者のリンク削除義務

著書名中西優美子
出版日2021年

要旨Case C-136/17 GC and others事件に関する判例研究。

55 集団殺害犯罪の適用ーアカイェス事件

著書名竹村仁美
出版日2021年

要旨本稿は1998年9月2日にルワンダ国際刑事裁判所(ICTR)の第1審裁判部がルワンダのタバ市の市長であったアカイェスに対して下した判決の評釈である。本判決はICTRの出した最初の判決であり, 集団殺害犯罪について初めて有罪判決を下した国際裁判であると共に, ICTR規程2条2項が採用する集団殺害犯罪条約(ジェノサイド条約)中の同犯罪の定義と構成要件について解釈を示した判決でもある。

日EU経済連携協定と戦略的パートナーシップ協定の法的観点からの考察

著書名中西優美子
出版日2021年4月

要旨本書では、アジア太平洋地域とラテンアメリカのパートナーとの経済関係をめぐるいくつかの論文を集めている。特に、日本とEUの経済関係については、交渉の際に双方が経験したニュアンスについて触れている。また、パートナーシップにおける価値観の導入についても取り上げている。

グローバルリスク・危機管理プログラム

フォーカス: 専門家らは被爆者の核兵器のない世界への希望に警告を(英語)

出版日2021年8月3日

要旨核拡散防止条約(NPT)や核軍縮の可能性に関する日本の立場など、秋山信将教授の意見が引用されている。

欧州グリーン・ディールと次世代の若者

著書名中西優美子
出版日2021年7月31日

要旨2021年7月14日に欧州委員会は、欧州グリーン・ディールの実施を強化する(delivering)ための12施策からなる包括的提案を公表した。その中でも、2035年にハイブリッド車を含むガソリン車などの新車販売の事実上の禁止や環境規制の緩い国からの輸入品に課税する「国境炭素調整メカニズム(CBAM)」の段階的導入などは、ニュースとして取り上げられ、ご存知の方も多いと思う。今回の短文では、欧州グリーン・ディールを次世代の若者との関係で取り上げることにする。

ワクチン外交とグローバル・ヘルス・ガバナンスーパンデミック宣言から1年

著書名山田敦
出版日2021年

要旨本論文では、貧困国へのリーチを重視したロシアや中国のワクチン外交と、中国やロシアの代替品に比べてこの分野で遅れをとっている主にコバックス(COVAX)を中心とした先進民主主義国のワクチン外交を比較している。先進国がワクチンの備蓄という国際社会に対する責任を怠り、権威主義国に貧困国との信頼関係を獲得させたことを指摘している。

クライメート・ポリティクス エコサイドは裁けるか 竹村仁美・一橋大准教授の話

出版日2021年7月2日

要旨大規模な環境や生態系の破壊行為をエコサイドといい、このエコサイドを重大な国際法上の犯罪と位置づけるために国際刑事裁判所規程の改正を求める声が一部の国際法の専門家から上がっている。しかし、国際刑事裁判所規程の改正のハードルは高く、且つ規程改正後に諸国がその改正を受諾しなくてはならない仕組みとなっている。さらに、現時点でエコサイドは新しい概念であり、慣習国際法上の犯罪と確立しているとは言い難い。政治的にもエコサイドが国際刑事裁判所規程上の犯罪となることで、国際刑事裁判所に参加していない国々が、一層国際刑事裁判所に対する態度を硬化させる可能性もある。こうした難題に対処するには、人道に対する犯罪、戦争犯罪などの規程中の既存の犯罪行為にエコサイドが該当しないかどうか探る方法も考えられるかもしれない。

欧州人権裁判所によるアムネスティの取扱いーアムネスティと重大な人権侵害に対する国家の捜査・訴追義務との関係性

著書名竹村仁美
出版日2021年

要旨比較的多くの場合、紛争を経験した国では、広範囲にわたる恩赦が移行期の「取引」の一部となっている。これらの恩赦は、国内の政治プロセスにおける元戦闘員間の分裂を減衰し、治安部門の改革を奨励し、和平交渉中にエリートの政治的妥協を可能にするための手段とみなされることが多い。紛争中の破綻国家においては、戦争犯罪や人道に対する犯罪、そして時には集団殺害犯罪(ジェノサイド)などといった国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪に匹敵する人権侵害が行われることも少なくない。他方で、国際刑事法の発展段階は、国際法が関係国家に対して国際法上の犯罪の訴追・処罰を義務づけているかどうかという視座を指標として計られてきた側面がある。国際法上、国家実行において、国際法上の犯罪の取締義務と恩赦との関係は曖昧なままとなってきた。欧州人権裁判所大法廷によれば、現代国際法上、民間人の故意の殺害など、基本的人権の重大な侵害に相当する行為に対する恩赦は、そのような行為を訴追し、処罰する一般に認められている国家の義務とは相容れないため、容認できないと見る傾向が強まっている。本稿では、欧州人権裁判所が、重大な人権侵害を構成する犯罪への締約国による恩赦に対してどのような態度をとっているのかを明らかにしていく。