その他の研究成果
民主主義重視が意味することとは?
要旨米国の国際的パワーが低下する中、バイデン政権が民主主義重視に舵を切ってから内在する問題を分析する。著者は、バイデン政権の「中間層のための外交(foreign policy for the middle class)」が内包している問題、民主主義アジェンダが政治利用される可能性、さらにアフガニスタンからの米軍の撤退がもたらした信頼性の悪化などに言及し、今後インド太平洋における民主主義擁護の重要性に言及する。
東京高判平25.7.19訟月60・5・1089…公正処理基準―ビックカメラ事件
要旨法人税法固有の観点からの判断として、不動産流動化実務指針に基づく処理の公正処理基準該当性を否定した判決の意義を解説。
ジョン・ミアシャイマー なぜ西側諸国はウクライナ危機の主たる責任を負っているのか(ビルマ語)
要旨エコノミスト誌に掲載された、「ジョン・ミアシャイマー なぜ西側諸国はウクライナ危機の主たる責任を負っているのか」のミャンマー語訳。
見直される「核の役割」…一橋大教授 秋山信将氏[視点 ウクライナ危機]
要旨ウクライナ危機が続く中「核共有」の議論を急ぐより、核のリスクと役割、その限界を客観的に分析した上、国家安全保障の観点から核の位置づけを冷徹に議論する必要がある。
最判平16.12.24民集58・9・2637…貸倒れの意義―興銀事件
要旨貸し倒れの認定にあたって、債権者側の特有の事情や経済的環境等を考慮することの可否など、具体的な判断構造を明らかにするものとして重要な異議を持つ判決の解説。
法的観点から見た職場における男女の均等な機会 ー日本の男女雇用機会均等法の現状と課題 (英語)
要旨日本の男女平等法案の根幹である男女雇用機会均等法(EEOA)は、賃金差別、性別を理由とする間接差別、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いなどにおいて課題を抱えている。法の違反に対する法的制裁の強化など、今後EEOAのさらなる強化が検討されるべきであろう。
中国における法とマニュアル ―司法のあり方をめぐって-
要旨「法の手引書/マニュアル」は裁判実務や訴訟、教育での利用をはじめ歴史的、文化的に多様な形式を持ち、本書では現代における政策遂行上の機能やメディアの言説の立法への作用などが示された。本章は、「新中国」の法とマニュアルの関係を振り返り、その特徴と機能についての検討を行い、その核心にあるものを模索するものである。
EU英国間の貿易協力協定の概要―主権の観点に注目して
要旨EUと英国の間で合意されたTCA(Trade and Cooperation Agreement)をめぐる主権・権限にかかわる事項を概観し、TCAがどのようにEUと英国の関係を規定しているかを明らかにする。
「ウクライナは核を放棄したからロシアに侵攻された」という議論が見逃していること
要旨ウクライナが核を放棄しなかったらロシアに侵攻されることはなかったのではないかという言説に対し、ウクライナの非核化がほぼ唯一の選択肢であったことを主張しその経緯を分析する。
EUにおけるレインボー家族の親子承認義務
要旨EU司法裁判所の判例研究(C-490/20 V.M.A.事件) 同性婚等を認めるということはEUレベルでは規律されず、国内法により規律されている。本事件では、同性婚が認められているEU構成国(スペイン)とそうでない構成国(ブルガリア)の間の相互承認およびEU市民の自由移動が問題となった。同事件では、EU法の適用の貫徹と国家アイデンティティの尊重という相容れにくい対象の均衡をどのようにとるか、EU司法裁判所の判断が注目された。