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民主主義・人権プログラム
国際秩序に背を向けた民主主義 -世界関与への矜持と戦略を取り戻せるか
2024年12月2日
法学研究科の市原麻衣子教授が参加した座談会の内容をもとに執筆された論考、「国際秩序に背を向けた民主主義 ―世界関与への矜持と戦略を取り戻せるか」が『外交』から2024年1月31日に出版されました。この論考は、欧米諸国において分断と対立の政治が常態化する中、ウクライナ支援の継続、戦争における情報戦、世界の「民主主義」が直面する課題、中国との対立などについて、私たちはどのような方向性を見極めるべきなのかについて議論しています。市原教授は、米国は覇権国としての要件を維持できていないとした上で、ウクライナ情勢の見通しと合わせて、米国の存在意義を再考し、それに合わせて外交・安全保障政策を再構築する必要があると述べました。また、中国とロシアがマスメディアに関する協力協定に調印したことに言及し、偽情報への対策は、国際協力のもとで実施すべきであると述べました。最後に日本外交への期待として、アジアにおける自由の維持・確立に積極的に取り組む必要があると強調しました。
民主主義・人権プログラム
「ロヒンギャとして生まれただけなのに 国境の町で目にした迫害の今」へのコメント
2024年11月29日
2024年4月24日に朝日新聞の記事、「ロヒンギャとして生まれただけなのに 国境の町で目にした迫害の今」に対する法学研究科の市原麻衣子教授のコメントが公開されました。この記事は、ミャンマーの厳しい情勢の中で、差別や迫害を受け続けているロヒンギャの人々に関する内容です。市原教授は、ロヒンギャは、ミャンマー国籍を奪われ、無国籍者として差別を受け続けながら、一方でミャンマー国民として徴兵されるという不条理を指摘しました。そして、日本政府及び国際社会は国民統一政府(National Unity Government: NUG)が人権規範の観点で持つ正当性を認めるべきであるとコメントしました。
民主主義・人権プログラム
「モディ首相人気、陰に巧みなSNS戦略 「優秀」なメディアはいま」へのコメント
2024年11月27日
2024年4月24日に朝日新聞の記事、「モディ首相人気、陰に巧みなSNS戦略 「優秀」なメディアはいま」に対する法学研究科の市原麻衣子教授のコメントが公開されました。この記事は、約9億6880万人の有権者を抱える「世界最大の選挙」と言われるインドにおける次の首相を決める総選挙の行方について、帝京大学の三輪博樹教授とのインタビューをとり上げた内容です。市原教授は、インドではモディ氏が率いるインド人民党及び野党の双方がトロールファームを使い、偽情報を拡散しているため、選挙戦は混沌としていると指摘しました。さらにモディ政権において、野党要人の逮捕といった国内の政治的動きは看過できるものではなく、海外の民間アクターが問題を指摘することの重要性を強調しました。
民主主義・人権プログラム
【Japan Times×GGR共催ウェビナー】情報戦 -民主主義、権威主義、そして世論形成をめぐる闘い [in English]
2024年11月18日
Japan Timesと一橋大学グローバル・ガバナンス研究センターは、2024年3月27日に、「情報戦 -民主主義、権威主義、そして世論形成をめぐる闘い」と題するウェビナーを公開しました。この動画では、早稲田大学の小林哲郎教授と一橋大学の市原麻衣子教授、そしてKreab Tokyoのジョナサン・ソーブル氏が、「日本は偽情報時代において異例の存在なのか」などについて議論しています。小林教授らは、日本特有の言語、メディア文化、そしてオンライン上の政治的発言を信用し過ぎない姿勢が、結果的に反民主主義的な影響キャンペーンに対して偶然にも強靭さを発揮していると説明しました。一方で、国際的なコミュニケーション能力の弱さや、生成AIなどの破壊的技術の進歩が、将来的に日本を脅威にさらす可能性があると主張しています。市原教授は、日本政府の対応は比較的受動的であるため、SNSが感情的な情報を迅速に拡散する時代においては、より積極的にメッセージを発信する姿勢が必要であると述べました。
民主主義・人権プログラム
「香港警察、カナダの周庭氏を指名手配 国安法違反容疑、出頭に応ぜず」へのコメント
2024年11月11日
2024年2月6日に朝日新聞の記事、「香港警察、カナダの周庭氏を指名手配 国安法違反容疑、出頭に応ぜず」に対する法学研究科の市原麻衣子教授のコメントが公開されました。この記事は、カナダに滞在している香港の民主活動家、周庭(アグネス・チョウ)氏が、定期的な出頭に応じなかったとして、香港国家安全維持法に違反した疑いで指名手配されたことに関する内容です。市原教授は、香港政府当局が行っていることは恐怖による支配であると述べました。そして、香港政府及びその背後にいる中国共産党は、一市民の行動をそれほど抑制しなければならないことの脆弱性やそのようなアプローチが長期的には市民の福祉や国家の経済にとって大きなコストになることを理解すべきだとコメントしました。
民主主義・人権プログラム
「日本に“指名手配”の民主派集結」でのコメント紹介
2024年11月6日
2024年7月5日にテレビ東京の動画、「日本に“指名手配”の民主派集結」が放映され、法学研究科の市原麻衣子教授のコメントも紹介されました。この動画は、香港において国家安全維持法や国家安全条例により民主化運動が完全に封じられた状況の中で、今年6月に、香港の民主活動家が参加し、GGRの共催により一橋大学で開催された「日本香港民主主義サミット」に関する内容です。市原教授は、香港の活動家が世界各地に散らばっている中で、ネットワーク化が重要であると述べた上で、中国との経済関係や研究の観点から香港との連帯を敬遠し、あるいはサポートを望んでもできないといった人々も多くいるという難しさが依然として存在することに言及しました。
民主主義・人権プログラム
「ジャニーズ事務所に記者会見やり直し要請 当事者の会、リスト問題で」へのコメント
2024年11月5日
2023年10月9日に朝日新聞の記事、「ジャニーズ事務所に記者会見やり直し要請 当事者の会、リスト問題で」に対する法学研究科の市原麻衣子教授のコメントが公開されました。この記事は、特定の記者を指名しないための「NG」リストが作られていたため、「ジャニーズ性加害問題当事者の会」が、ジャニーズ事務所による記者会見のやり直しを求める要請文を発表したことに関する内容です。市原教授は、10月2日の会見には、記者リスト問題以外にもいくつかの違和感があることを指摘しました。第一に、社会貢献事業を担ってきた会社の名前を使おうという発想に、ジャニーズ事務所の組織的な性犯罪に対する反省が欠如しているという点、第二に、ジャニー喜多川氏によるレイプを可能にしていた組織の責任に対する理解が欠如しているという点を挙げました。その上で、内部にいる所属タレントがジャニーズ事務所の今後を決めている状態では、被害者が加害システムにのみ込まれない組織を作るという真の意味での解決に繋がらないとコメントしました。
民主主義・人権プログラム
「サンデル教授が指摘する「議論の危機」 分断や無力感を超えるには」へのコメント
2024年10月28日
2023年10月3日に出版された朝日新聞の記事、「サンデル教授が指摘する「議論の危機」 分断や無力感を超えるには」に対する法学研究科の市原麻衣子教授のコメントが公開されました。この記事は、民主的議論を阻害する要因の一つに能力主義があるというサンデル教授指摘に関するものであり、日本では欧米ほど政治が分極化していないものの市民の無力感があり、それをどのように克服すべきかについて伝えています。市原教授は、日本で今も議論が発生しにくい理由として、非政治性を求める傾向及び同調圧力などの影響が大きいと指摘しました。そして、こうした障壁を克服したうえで、能力主義が社会構造をいかに固定化させるかという問題について考える必要があるとコメントしました。
民主主義・人権プログラム
「インドの「民主主義の危機」に歯止め モディ首相3期目の行方を解説」へのコメント
2024年10月24日
2024年6月29日に朝日新聞の記事、「インドの「民主主義の危機」に歯止め モディ首相3期目の行方を解説」に対する法学研究科の市原麻衣子教授のコメントが公開されました。この記事は、モディ首相率いる与党インド人民党が総選挙で勝利したものの、同党の議席が単独半数を割った背景とインドの民主主義の行方に関する内容です。市原教授は、今回の選挙結果がインドの民主主義の危機を止めたと断言するのは早計であると指摘しています。第一に、有権者の投票行動は主に生活に関わる問題によるもので、民主主義の後退を食い止めようという意図がどの程度あったのかは不明であるということ、第二に、選挙結果が実際に民主主義の後退を食い止める機能をどれだけ有しているかは未知数であり、今後の展開を見る必要があるとコメントしました。
民主主義・人権プログラム
イベント主催「香港返還から27年 民主化運動の舞台が日本へ?」
2024年10月21日
2024年7月3日にグローバル・ガバナンス研究センターが共催したイベントが言及されたテレビ東京の記事「香港返還から27年 民主化運動の舞台が日本へ?」が公開されました。この記事は、香港がイギリスから中国に返還されてから27年を迎えた状況を背景に、香港の自由と民主化運動の現状を伝え、特に、2019年の民主化デモ後に施行された国家安全維持法と新たに成立した国家安全条例により、香港の民主化運動が日本など海外に移っていることに関する内容です。アリック・リー氏(香港民主化を目指す「レディーリバティー香港」の代表)は、日本と台湾は反中国の最前線になっており、日本は安全な場所で恐怖を感じることはないものの、香港に残る両親のことが気がかりであるとコメントしました。