その他の研究成果
グローバル化する東欧とアメリカ ―デタント・東西貿易・債務問題 (益田実・齋藤嘉臣・三宅康之編著 、法律文化社)
要旨東欧経済が資本主義市場経済に組み込まれて行く過程を「東欧のグローバル化」と考え、それに対するアメリカの対応を検討する。アメリカは経済的手段を行使することで対外政策の変化や政治体制の改革を促すことを期待したが、この対応によってアメリカが東欧に行使し得た影響力には限界があったことを明らかにする。
先決裁定付託義務と法律上の裁判官により裁判を受ける権利(IV(6)) 【EU法における先決裁定手続に関する研究(44)】
要旨本論はEU法における先決裁定手続に関する研究として、2021年3月のドイツ連邦憲法裁判所の事例を取り上げる。事件では、ドイツ基本法(憲法)101条1項2文に規定される法律上の裁判官による裁判を受ける権利が問題となった。すなわち、ドイツ連邦財政裁判所がEU司法裁判所に先決裁定を求めなったことがドイツ憲法上問題となった。
カンボジアの「ウィン・ウィン政策」は危機的状況にあるミャンマーにも有効か?(ビルマ語)
要旨この論文では、フン・セン首相とミャンマーの現軍事政権との関係の中で、カンボジアの「ウィン・ウィン政策」を関連付けている。
Dissidents.org–- ストーリー(英語)
要旨プロジェクト「Dissidents.org」は、自由と民主主義を主張する世界各国の活動家たちのインタビューを集めたもので、彼ら自身のストーリーや実体験をさらけ出している。
腐食性資本:チリの事例(スペイン語)
要旨この出版物は、権威主義国家の企業がチリ国内で行った投資やプロジェクトに関するFPPの調査結果である。結論としては、腐食的な影響を防ぐための制度の役割を指摘している。また、他の中南米諸国への提言もなされている。
侵食される民主主義 上・下(勁草書房)
要旨いま民主主義国は、権威主義国から影響力工作や「シャープパワー」で侵略され、国内ではイデオロギー分断が生じている。この外からの攻撃と内からの自壊を包括的に捉える画期的な民主主義本がついに登場。最近の民主主義の後退を最初に指摘した「ミスターデモクラシー」ことダイアモンド教授による警告と、再生に向けた処方箋。
ホモジニアスな日本? 日本における市民意識の実証的検討(英語)
要旨本論文では、民族国家の国民が市民権取得基準をどのように捉えているかを分析した。その結果、全体的に見て、日本人は誰が「日本人」であるかを判断する際に、両親の国籍、特に父親の国籍に最も大きく依存していることがわかった。この結果は、日本の文化的同質性に対する長期的な信念と、父系的な市民権の伝統によって強化された家父長的な価値観を反映しているものと考えられる。
良心的兵役拒否の倫理 (英語)
要旨本論文は、Michael K. Duffey 教授によるオリジナル原稿の第1版と第2版を更新したものである。良心的兵役拒否の宗教的・哲学的根拠を網羅している。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教における拒否の理由を取り上げている。今日、徴兵制を採用する国は減少しているので、良心的兵役拒否の問題は解消されるはずである。国連も欧州人権裁判所も、良心的兵役拒否の権利は、思想・良心の自由の下で保障されていると認めるようになった。特定の武力紛争に対して選択的な良心的兵役拒否の権利を行使できるかどうかが争点となっている。