民主主義・人権プログラム
【GGR集中セミナー】偽情報に対抗し、民主主義を守るには
日にち2023年9月4~7日
開催場所マーキュリーホール
イベント概要

2023年9月4日から7日にかけて、一橋大学グローバル・ガバナンス研究センターは「偽情報に対抗し、民主主義を守るには」と題する4日間の集中セミナーを開催しました。セミナーでは、偽情報の現在、分析方法、対策方法を学び、参加者自ら積極的に偽情報の分析と対策に挑戦する機会が提供されました。セミナーには選考を経た計14名の大学生及び大学院生が日本全国から参加しました。

本集中セミナーでは、国内外の第一線の専門家によるインタラクティブな講義が行われました。市原麻衣子教授(一橋大学大学院法学研究科)の講義では、偽情報の現在とその構造的要因の概説が整理されました。サッシャ・ハニグ・ヌニェズ氏(一橋大学大学院博士後期課程)による講義では、偽情報がいかに民主主義国家に危険を及ぼすかが説明されました。游知澔氏(一橋大学客員研究員;台湾情報環境研究センター(IORG)共同ディレクター)の講義では、偽情報を対象にした研究結果を可視化する方法が紹介されました。古田大輔氏(日本ファクトチェックセンター編集長)による講義では、ファクトチェックに関する概論と実践的なトレーニングが行われました。最後に、Ttcat(ダブルシンク・ラボ共同設立者 兼 CEO)氏の講義では、カウンターナラティブの形成方法が紹介され、実際の体験セッションが設けられました。

参加者には講義への積極的かつ主体的な参加が求められました。古田大輔氏による講義では、各グループが選定した偽情報と疑われるコンテンツを選定し、ファクトチェックを実施した上で、古田氏よりフィードバックを受ける活動が行われました。加えて、Ttcat氏の講義では、参加者自らがカウンターナラティブを形成するトレーニングが提供されました。

また、本セミナーでは参加者がグループに分けられ、振り分けられたテーマに関する偽情報を分析し、カウンターナラティブを形成するという実践的な課題が実施されました。参加者は講義内容及び諸フィードバックを参考に、偽情報の分析とカウンターナラティブ形成を試みました。4つのテーマはそれぞれ、ウイグル問題、福島のALPS処理水問題、ウクライナ侵攻問題、そしてLGBT問題で、近年世界的規模で関心が寄せられているテーマが選定されました。

各グループは偽情報のメッセージと発信者の意図を推察し、偽情報受信者のペルソナを分析し、効果的なカウンターナラティブを考案しました。ウイグルグループは、UDARIと名付けた新たなカウンターナラティブキャンペーンを考案しました。福島のALPS処理水グループは、偽情報拡散者と偽情報に晒された場合に脆弱と考えられる中国人留学生を想定してペルソナ分析を行いました。ウクライナグループは、ロシアの非人道性を強調しつつ、情報受信者の感情を刺激するカウンターナラティブ戦略を構築しました。最後にLGBTグループは、アメリカ国内のLGBT推進が国際的な地位向上につながるという愛国心を刺激するカウンターナラティブを形成しました。

【イベントレポート作成】
金 浚晤(法学部 学士課程)