要旨
2023年6月28日に一橋大学法学研究科の市原麻衣子教授が執筆した論文「アジアにおける国境を超える影響工作と人権への影響」がGlobal Asiaに掲載されました。本論文は、権威主義国家による越境的な影響工作、とりわけ中国のアジア諸国に対する工作の構造とその影響を解説しています。市原教授は、中国の影響工作の影響を最も多く受けている地域がアジアであると指摘しています。権威主義国家の影響工作が他国家の経済的不平等と政治的分断、そして市民の行動傾向を利用していると説明しています。また、諸人権を攻撃の的にしている影響工作は、権威主義国家内で発生している人権問題や政治的不安定性を隠すのが目的であると論じています。最後に、市原教授は影響工作に関する最先端の研究、ファクトチェック、カウンターナラティブの形成を通じた対抗手段の必要性を強調しています。