民主主義・人権プログラム
【GGRトークセッション】インドネシアの民主主義後退をどうみるか
日にち2023年7月14日(金)
時間12:30-13:30
開催場所マーキュリータワー3302教室
イベント概要

2023年7月14日、一橋大学グローバル・ガバナンス研究センター(GGR)は本名純教授(立命館大学国際関係学部)を講師にお招きし、GGRトークセッション「インドネシアの民主主義後退をどうみるか」を開催しました。

1998年に民主化を達成したインドネシアは、国際社会から「安定した民主主義国家」もしくは「グローバル・サウスのリーダー」として高く評価されてきました。しかし本名教授は、インドネシアの民主主義が2014年のジョコウィ現政権発足以降後退していることを指摘し、その背景をジョコウィ大統領の権力掌握過程に求めて説明しました。権力掌握の例として本名教授は、①ジョコウィ大統領が既存の政治エリートの束縛を回避するために連立与党を拡大させ、それに伴って野党が無力化している点、②政権批判報道の抑制のために主要メディアに対して圧力を加えている点、③インドネシア最大のイスラム社会団体のリーダーを政権に取り込んだ点、④治安機構の人事を身内で固めた点、の4点を指摘しました。そして、このように行政権力の肥大化を進めるジョコウィ政権は、反政権勢力の解散や市民社会運動に対する圧力、そして民主主義の根幹を成すチェック・アンド・バランスへの攻撃を実行していることも指摘されました。本名教授は、こうしたプロセスを経てインドネシアの民主的な政治空間が圧迫されていることを強調しました。

質疑応答セッションでは、ジョコウィ政権が野党の吸収に成功した理由や、大統領選挙における政党の役割、そして2024年大統領選挙の展望などに関する質問が提起されました。本名教授は、2024年大統領選挙において一定の政党間競争が見られても、選挙後には与野党が手を組む構図が出現しうる可能性が高いと指摘しました。

 

【イベントレポート作成】

中野 智仁(一橋大学国際・公共政策大学院 修士課程)