EU法の優位原則と国内裁判所の先決裁定を求める権利の保障
出版日2023年2月
書誌名自治研究
著者名中西優美子
要旨 2023年2月に、一橋大学法学研究科教授の中西優美子教授が執筆した論文、「EU法の優位原則と国内裁判所の先決裁定を求める権利の保障」が自治研究から出版されました。本論文は、ルーマニアにおいて法の支配や裁判官等に対する懲罰責任が問題となった事件で、EU法の優位原則と国内裁判所の先決裁定手続きの意義について解説しています。中西教授は、本判決で司法裁判所がEU法に反する場合、上位の裁判所たる憲法裁判所の判決であっても無視することを国内の通常裁判所に義務付けたことと、同様に下級審の通常裁判所が司法裁判所に先決裁定を求める権利は憲法裁判所の判決を問わず保証されると判断を下していると説明しました。また、中西教授は通常裁判所が「EU」裁判所として司法裁判所との協力関係を尊重する点に注目しつつも、EU法の優位性自体が特定の規定に基づくものではなく、司法裁判所の排他的管轄権も同じく解釈によるものである等の問題が残っていると評価しました。