【GGRトークセッション】ロシア・ウクライナ戦争とコーカサス諸国への影響
日にち2023年3月3日
時間13:30~14:30
開催場所マーキュリータワー3302
イベント概要

2023年3月3日、グローバル・ガバナンス研究センター(GGR)はアナ・ドリチェ氏(ラブダン・アカデミー主任研究員:アラブ首長国連邦)を講師にお迎えし、「ロシア・ウクライナ戦争とコーカサス諸国への影響」というタイトルのトークセッションを開催しました。

ドリチェ氏は中央アジアとコーカサスの地理的関係を簡潔に示したのちに、ロシアが「近い外国(near abroad)」と呼ぶこれらの諸国が様々な手段を巧みに用いながらロシアと西側のどちらに対しても強い立場をとることを避けていると論じました。コーカサスと中央アジア諸国に共通する特徴として、ロシアとの経済的依存、民族的宗教的多様性、これらに起因する脆弱性が存在していると指摘しました。この脆弱性を回避するために、西側の制裁に反さない形でロシアとの貿易を行う一方で、ロシアの侵略は支持しない立場をとっていると論じました。また、戦争勃発後に以下の事象が顕著になったと説明しました。ロシアで働く移民の本国への送金額が増加したこと、ロシアと中央アジア・コーカサス諸国の間の貿易額が増加したこと、その背景には西側の制裁品目をほかの製品であるとリパッケージして行う影の貿易の存在があることを指摘し、徴兵を逃れロシアから流れ込むロシア人は諸国の経済に利益をもたらす重要な人的資本であると論じました。

質疑応答には約10名の学生が参加し、活発な議論が行われました。ドリチェ氏は質問を受けベラルーシの立場やナゴルノ・カラバフに対するジョージアの視点を説明し、2008年のジョージア戦争と今回の戦争に対する西側の反応の違いについても論じました。また、制裁の効果や特別法廷の可能性、アルメニアの伝統的なロシアとのパートナーシップの変化の背景にはアゼルバイジャンが近年持ちつつある西側との貿易関係があることに触れ、ロシアに積極的に反対しない国に対する西側の在り方について述べました。ドリチェ氏は講演全体を通じて、ロシアが「近い外国」に対し植民地主義的・帝国主義的思考をもっていることを強調し、市井の人々にまで広がるそのような思考が誤っていると示さなければならないと論じました。

【イベントレポート作成】
中島崇裕(一橋大学法学部 学士課程)