その他の研究成果
ロシア・ウクライナ戦争が終わらせた米ロ軍備管理体制 -核の恫喝が対中抑止に持つ含意(上)
要旨ロシアが行った核の恫喝は、核を地域レベルの戦闘でも「使える」兵器へと変貌させた。米国は、ロシア、中国と新たな規制構築を行わざるを得ないだろう。ただ、冷戦期からの米ロの軍備管理体制が基盤にしてきた秩序の前提自体が壊れている。
EUタクソノミー規則と欧州委員会の委任規則案
要旨EUタクソノミー規則の枠組みにおく経済活動に、原子力エネルギーと天然ガス分野を含めることを表明した欧州委員会の委任規則案を、EU法の観点から解説する。
「安定―不安定のパラドクス」の現実 ロシア・ウクライナ戦争で露わになった「核の恫喝の下でのハイブリッド戦争」とは
要旨「核の恫喝の下でのハイブリッド戦争」という戦略環境のなかで、日本はどのように核のリスクに対処していくべきなのかについて、抑止態勢のあり方、戦略的競争を規定する軍備管理の役割、そして核の国際秩序の基調となるべき規範という三つのレベルから論じる。
民主化運動と韓国文学、「喪失」と「トラウマ」に向き合う韓国文学─聖水大橋・三豊デパート・セウォル号
要旨本稿では、韓国における民主化運動の歴史的経緯と、民主化を支えた文学の関わりを述べている。また、韓国では1990年代以降「圧縮成長」のひずみによる衝撃的な惨事が発生した。そこで韓国文学はいかにしてその社会的「喪失」と人々の「トラウマ」に向き合ってきたのかを解き明かしている。
ポーランドにおける司法権の独立問題をめぐるEU司法裁判所、欧州委員会および欧州議会の対応
要旨EU司法裁判所は、ポーランドにおける司法権の独立が済し崩されないよう行動してきたが、現在もポーランドの司法権の独立問題がEU法に対して波及を広げている。
国際刑事裁判所とは何か
要旨ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに注目を集めるようになった国際刑事裁判所について、「対象とする犯罪」や「補完性の原則」など、複数の観点から解説する。
規範揺らぐ今、本質的対処を
要旨今後、規範侵害の常態化を防ぐ上で重要なことは、ロシアに譲歩しない姿勢は保ちつつも、非欧米諸国を遠ざけないよう留意して足並みの揃った理解と参画を取り付けていくことである。
アダム・ロバーツ卿は、ウクライナ危機の主な原因は欧米にあるという見方に反論している(ビルマ語)
要旨エコノミスト誌に掲載された「アダム・ロバーツ卿は、ウクライナ危機の主な原因は欧米にあるという見方に反論している」のビルマ語訳。
中国の法と秩序 -その歴史・現在・未来
要旨所謂「新時代」における習近平の統治は、一面において法治を強調しつつ、同時に徳治を提唱するものである。本稿では中国が歴史的に構築してきた法制度とその法意識を振り返るとともに、現在提唱される「習近平法治思想」の内容について検討する。