その他の研究成果
論壇委員から 正当性利用 秩序揺るがす
要旨市原麻衣子教授は、ロシアがウクライナ侵略に際して宗教という正統性の高い規範をも利用して、国際秩序を侵害しようとしていると指摘する。
〈多思彩々 参院選〉国際秩序形成へ、積極外交を
要旨7月10日の参議院議員選挙を前に、外交問題がどのような意味を持つのか、市原麻衣子教授が考察しています。通常、外交問題は選挙での主要課題ではありませんが、今回の選挙では様相が異なることを指摘し、各政党が外交問題をどのように取り上げているかを解説しています。
核禁条約会議閉幕 政治的思惑の克服課題
要旨6月23日にウィーンで閉幕した核禁条約会議に関し、多くの国が会議に参加し、揃って核廃絶の重要性を指摘したことは意義があったとする一方で、会議を通じて見えた核禁条約の課題や核軍縮における日本の役割も指摘する。
ロシア・ウクライナ戦争が終わらせた米ロ軍備管理体制 -核の恫喝が対中抑止に持つ含意(下)
要旨現状維持国家(米国)、現状変更国家(中国)、衰退国家(ロシア)の戦略的目標が違う以上、この三者で軍備管理体制を築くのは容易ではない。また極超音速滑空体の開発などにより、核・非核アセットの境界もあいまいになっている。冷戦期の制度設計がついに真の終焉を迎えるなか、日本は新たな制度の模索にどう関わって行くべきか。
ロシア・ウクライナ戦争が終わらせた米ロ軍備管理体制 -核の恫喝が対中抑止に持つ含意(上)
要旨ロシアが行った核の恫喝は、核を地域レベルの戦闘でも「使える」兵器へと変貌させた。米国は、ロシア、中国と新たな規制構築を行わざるを得ないだろう。ただ、冷戦期からの米ロの軍備管理体制が基盤にしてきた秩序の前提自体が壊れている。
EUタクソノミー規則と欧州委員会の委任規則案
要旨EUタクソノミー規則の枠組みにおく経済活動に、原子力エネルギーと天然ガス分野を含めることを表明した欧州委員会の委任規則案を、EU法の観点から解説する。
「安定―不安定のパラドクス」の現実 ロシア・ウクライナ戦争で露わになった「核の恫喝の下でのハイブリッド戦争」とは
要旨「核の恫喝の下でのハイブリッド戦争」という戦略環境のなかで、日本はどのように核のリスクに対処していくべきなのかについて、抑止態勢のあり方、戦略的競争を規定する軍備管理の役割、そして核の国際秩序の基調となるべき規範という三つのレベルから論じる。
民主化運動と韓国文学、「喪失」と「トラウマ」に向き合う韓国文学─聖水大橋・三豊デパート・セウォル号
要旨本稿では、韓国における民主化運動の歴史的経緯と、民主化を支えた文学の関わりを述べている。また、韓国では1990年代以降「圧縮成長」のひずみによる衝撃的な惨事が発生した。そこで韓国文学はいかにしてその社会的「喪失」と人々の「トラウマ」に向き合ってきたのかを解き明かしている。
ポーランドにおける司法権の独立問題をめぐるEU司法裁判所、欧州委員会および欧州議会の対応
要旨EU司法裁判所は、ポーランドにおける司法権の独立が済し崩されないよう行動してきたが、現在もポーランドの司法権の独立問題がEU法に対して波及を広げている。