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2024年5月21日に、法学研究科の市原麻衣子教授が執筆した記事、「中国とロシアに見るデジタル影響工作の生態系」がForesight(フォーサイト)に掲載されました。本記事は、影響工作を行う中心的な国家であるロシアと中国の事例をもとに、政府機関から国営メディア、ローカルメディア、広告代理店までを含む、その複雑な生態系に迫る内容です。市原教授は、中国の影響工作を担う部署は多岐にわたり、複雑であると指摘しました。そして、薛剣駐大阪総領事のX上におけるポストについて日本、米国、中国の三ヵ国に焦点を当てて分析した結果、米国についてはネガティブな話題が圧倒的に多く、戦狼外交として日米の離反を狙った可能性が高いと指摘しました。さらに、中国のプロパガンダを国外に拡散する主要なプラットフォームの一つである国営メディアの数は多く、海外に影響力を獲得するため、他言語での発信を拡大・強化するのみならず、ローカルメディアや広告代理店にも接近し、影響工作のアクターとして取り込み利用する傾向に懸念を示しました。最後に市原教授は、ロシアや中国が展開する影響工作の生態系についてはまだ解明がはじまったばかりであり、今後さらなる調査と対処が望まれると強調しました。