「民主主義は衰退しているのか?インド太平洋地域秩序への示唆」の出演 [in English]
2023年11月24日、慶應義塾大学戦略研究センターは「民主主義は衰退しているのか?インド太平洋地域秩序への示唆」と題し、法学研究科の市原麻衣子教授が参加した対話プログラムの映像を公開しました。この対話プログラムでは、グローバル・デモクラシーの現状と将来、そしてインド太平洋地域への影響について議論されています。市原教授は、2006以降民主主義の後退と呼ばれる現象が起きているとした上で、インド太平洋地域は北朝鮮や中国のような完全な独裁国家から日本や韓国、台湾のような比較的回復力のある民主主義国家まで多様なタイプの政治体制があるという意味で非常に特徴的な地域であると述べました。また、権威主義国家による影響工作は、他国の行動や政策変更を勝ち取るために情報を歪めようとするものだが、それが効果的であると考えられるのは対象国の社会が分裂してる場合であると指摘しました。影響工作においては、中国とロシアが中心的なアクターであるが、両国は全く異なる手法を用いる傾向にあると述べた上で、近年の日本における処理水排出をめぐる偽情報の拡散は、中国がロシアと同様の手法を用いるようになってきていることを示唆すると指摘しました。さらに、影響工作に対して民主主義を守るために日本ができることは複数あるが、日本社会として、そして日本政府としてなすべき重要なことの一つは、日本社会においてだけでなく、他の国の社会においても、うまく分断を埋めることであるとコメントしました。