2023年12月22日、グローバル・ガバナンス研究センター(GGR)は、アイーダ・アイダークロワ氏(中央アジア政策研究アンロック エグゼクティブ・ディレクター)を講師にお招きし、GGRトークセッション「岐路に立つカザフスタン ―大国間の地政学的戦い」を開催しました。トークセッションは英語で開催されましたが、興味深いことに、多様な国からの参加者がこのイベントに参加し、国際色豊かなものとなりました。
市原麻衣子教授の司会のもと、アイダークロワ氏はトークセッションの冒頭、カザフスタンの特徴的な地理を取り上げ、世界最大の内陸国であることを強調しました。カザフスタンはエネルギー部門で重要な地位を占めており、2018年には石炭と天然ガスの両方で最大の生産国として認められたことを指摘した上で、カザフスタンがいかに外国直接投資を効果的に誘致しているかを説明しました。カザフスタンの地政学的な影響力は地域的にも世界的にも拡大しており、日本との外交的なつながりやEUへの積極的な参加を特徴としているとのことです。さらに、5+1フォーマットの提案を通じて、日本が影響力のある役割を果たしたことを指摘し、カザフスタンの軌跡を形成する多様な国際的関わりを紹介しました。アイダークロワ氏は、カザフスタンが地域のイニシアティブにおいて重要な役割を果たしていることを強調し、その証拠として、日本で開催されたG7サミットにおいて習近平が中央アジアの指導者を招待したことを挙げ、カザフスタンがグローバルな舞台で影響力を拡大していることを論じました。また、カザフスタンが国際舞台で多面的な存在感を示し、重要な役割を果たしているのは、こうした様々な要因が複合的に作用しているためだと論じました。
質疑応答では、ロシアとウクライナの紛争に対するカザフスタンのスタンスについて、地理的な観点から質問がありました。これに対して、ウクライナ人のディアスポラ、歴史の共有、集会の自由の重要性を指摘し、カザフスタンの強い支持を強調しました。最後に、カザフスタンにおけるウイグル感情、トルコの民主化への挑戦、カザフスタンとカザフ民族の宗教的なつながりからくる難民の受け入れについて議論が展開されました。アイダークロワ氏は、「中国はカザフスタン民族問題に取り組むことでカザフスタンの領土保全を確保できる」という習近平の発言に言及しながら、新疆ウイグル自治区におけるカザフスタン民族問題を強調しました。
【イベントレポート作成】
ニン・テ・テ・アウン(一橋大学国際・公共政策大学院 修士課程)
【翻訳】
渡邉英瑠(一橋大学国際・公共政策大学院 修士課程)