要旨
2023年7月31日に、法学研究科の市原麻衣子教授が執筆した論文、「中ロの選挙介入に揺れる米国」が『外交』に掲載されました。本論文は、2022年の米中間選挙を事例に中ロの選挙介入の活発化と米国への影響を分析しています。市原教授は、ロシアと中国は米国社会を分断させるための偽情報拡散を含む影響工作を行っており、中でも22年の中間選挙は2016年から介入が確認できたロシアに加えて選挙介入を躊躇した中国が方向転換して介入を開始した選挙であったと論じています。また、市原教授は米国内で市民、立法府、そして司法府の領域を横断して対抗策に向けた動きがみられる一方で、それに反対する意見も存在し、揺れ戻しが発生していると論じました。最後に、教授は今後行うべき対応として、民間主導の偽情報対策を講じること、国内の分断の原因になっている制度を是正すること、そして国内の経済格差を是正することを強調しました。