要旨
2023年7月に、法学研究科の中西優美子教授が執筆した判例研究、「EUにおける一事不再理(ne bis in idem)原則と相互信頼」が『自治研究』に掲載されました。この判例研究は、2016年に判示されたKowwowski事件(C-486/14)を取り扱っています。この事件では、刑事法における重要原則の1つとして捉えられる、一事不再理原則の適用が問題となっています。一事不再理原則は、日本法でも見られるものですが、EUにおいては、1か国ではなく、EU構成国全体に適用されることになっています。そのため、構成国間の相互信頼が重要になってきます。EU司法裁判所は、一事不再理の原則と相互信頼の間のバランスをとったものであると評価しました。