要旨
一橋大学法学研究科の学術誌『一橋法学』の21巻2号が出版され、一橋大学大学院法学研究科教授でGGR研究員の酒井太郎教授の論文が掲載されました。日本の会社法では、法人が取締役になることは認められていません(第331条第1項第1号)。本稿では、この規定が理論的に正当化できるのかどうかを検討しています。また、法人が取締役になることに政策的な正当性、技術的な意義があるのかについても検討しています。この問題は古くから議論されてきましたが、2005年の会社法制定に伴い、議論のベースとなる規制の主要な構造が大きく変化しています。本稿では、この会社規則の変更が、これまでの議論で説明されてきた合理性に影響を与えるかどうかという観点から、株式会社の取締役適格性について議論します。