民主主義・人権プログラム
【GGRブラウンバッグランチセミナー】時代を超えた影響力と技術 ―ソーシャルメディアにおける影響力・偽情報の理解と研究
日にち2022年7月27日
時間12:30-13:30
開催場所マーキュリータワー3302
イベント概要

2022年7月27日、グローバル・ガバナンス研究センター(GGR)は、ノルウェー国防研究機関(Norwegian Defence Research Establishment: FFI)からの客員研究員であるアーリル・ベルグ氏をゲストスピーカーに迎え、第6回GGR Brown Bag Lunch Seminarを開催しました。約20年間コンピュータープログラマーとして働き、その後社会学の博士号を取得したベルグ氏は、現在ノルウェーの防衛の軍民両分野における業務に関わっています。

ベルグ氏は、「サイバー領域および社会におけるプロパガンダの影響」を、サイバー領域および社会的(認知領域を含む)、プロパガンダ(ツール)、影響(目標)の3つの部分に分けて説明しました。影響力の働きかけが、意図的かつ組織的な発信や認識の歪曲によって行われる場合、その国に害をもたらし悪影響を及ぼすと分析しました。
偽情報は技術史的に新しい現象ではないものの、ソーシャルメディアによって影響力の範囲が拡大し精度が向上した今、より多くのことが低コストで可能になったと指摘し、ベルグ氏は、人々がフェイクニュースやインフルエンサーのコンテンツに遭遇することだけでなく、アルゴリズムによるナラティブによっても、権威に対する不信感を募らせ、代わりに特定のナラティブを支持するようになる可能性があると論じました。

質疑応答には、約10名の一橋大学の教授や学生が参加し、ナラティブの仕組み、各国で起きている個別の事象の関連性、地域ごとの偽情報や誤情報をどう乗り越えることができるかなどについて質問が出されました。ベルグ氏は現在、沖縄とフィンランドに焦点を当て、国家のナラティブや配信手法・チャネルを分析する比較研究を行っています。

 

【イベントレポート作成】
チョン・ミンヒ(一橋大学大学院法学研究科 博士後期課程)