グローバル・ガバナンス研究センター(GGR)は2022年6月29日、青野利彦教授(法学研究科/国際・公共政策大学院)を講師として、「グローバル化する国際経済と冷戦 ―1970年代~80年代前半」というテーマで第5回GGRブラウンバッグランチセミナーを開催しました。
青野教授は1970年代以降顕著となったグローバル化と冷戦状況の変容を捉えるために、戦後70年代までの国際経済体制の変化、および70年代から80年代にかけての経済的なグローバル化と冷戦の相互作用について論じました。第一に、1945年から1970年代中葉までの経済変化として、経済的な東西分断、西側経済の変容、東欧経済のグローバル化、「東アジアの奇跡」、第三世界の分裂などを指摘しました。第二に、経済的グローバル化と1970年代から80年代冷戦の相互作用として、米国の経済状況悪化やソ連側の貿易を通じた利益拡大を背景とした米ソ・デタント、西側の不況と関連した東欧経済のグローバル化とデタント、東アジアの奇跡に伴う世界経済のアジアへの移行と中国のグローバル市場への参入、経済格差を背景とした第三世界の分裂と社会主義圏への影響について指摘を行いました。
質疑応答では、歴史研究から見た埋め込まれた自由主義、世界経済のグローバル化に伴う環境問題など新たな問題への反応、グローバルに拡大した市民社会の観点による冷戦の終結、中国の世界市場への参入とアフリカにおける中国モデルの受容、冷戦下におけるグローバル化と地域主義の関連など、さまざまな議論が交わされました。総勢約20名の教員・大学院生が集ったブラウンバッグランチセミナーとなりました。
【イベントレポート作成】
鈴木涼平(一橋大学大学院法学研究科 博士後期課程)