民主主義・人権プログラム
【GGRトークセッション】動揺する地域における小国-ジョージアが直面する政治的課題からの教訓
日にち2025年12月2日
時間13:30-14:30
開催場所一橋大学国立キャンパス
イベント概要

2025年12月2日、一橋大学グローバル・ガバナンス研究センター(GGR)は、GGRトークセッション「動揺する地域における小国-ジョージアが直面する政治的課題からの教訓」を開催しました。講師にはティナティン・キダシェリ氏(Civic IDEA 代表/元ジョージア国防大臣)をお招きしました。

キダシェリ氏はまず、ジョージアの地政学的な位置づけと、同国が現在直面している政治危機について概説しました。ジョージアはロシアとトルコの間に位置し、イランや中国の影響も及ぶ地域にあります。さらに、カスピ海から欧州へ向かうエネルギー輸送路の要衝であると同時に、黒海を経由してアジアと欧州を結ぶ中間回廊の中心でもあり、エネルギーや貿易において戦略的重要性を有しています。国内では政権の親ロシア傾向が強まり、2024年11月のEU加盟交渉中断以降、市民による抗議デモが続いています。また、1991年には2地域が分離し、ロシアが独立国家として承認したものの、これを支持する国は限られており、冷戦状態が継続しています。

続いてキダシェリ氏は、ジョージアで進行中のプロジェクトについて説明しました。第一に、ジョージアでは中国の影響力が拡大しており、2023年7月には両国間で戦略的パートナーシップが締結されました。しかし、2023年から24年の間に登録されたビジネスの約9割が頓挫し、累積取引数が800%増加したにもかかわらず、その大半は中国製品の一方的な輸入でした。第二に、アナクリア港開発のため、アメリカとのコンソーシアムが2018年に始動しましたが、創始者が政府によって刑事訴追されたほか、ロシアが代替輸送路の建設に反対したたことから計画は停止しました。その後、中国企業が計画取得を宣言したものの契約には至らず、2026年予算にも計上されていません。この計画はジョージアにとって極めて戦略的な意味を持つものの、現政権下では実現は難しいだろうと述べました。

キダシェリ氏は最後に、ジョージアの地域情勢と将来の展望について言及しました。アルメニアとアゼルバイジャンの和平協定により、地域が初めて一体となってロシアの影響力に対抗し得る可能性が生まれたと指摘しました。また、政府が憲法に明記されたEUおよびNATO加盟方針の削除を問う住民投票を実施する可能性にも触れつつ、国民の約85%がEUを支持している現状を踏まえると、その実現は容易ではないとの見方を示しました。

【イベントレポート作成】

髙倉朱里(一橋大学法学部学士課程)