民主主義・人権プログラム
【GGR / RCSP トークセッション】政治危機からのプロとしての目覚め『権威主義下における法的抵抗』出版記念イベント
日にち2025年12月12日
時間13:30-15:00
開催場所第3研究館会議室
イベント概要

2025年12月12日、東京大学持続的平和研究センター(RCSP)と一橋大学グローバルガバナンス研究センター(Institute for Global Governance Research: GGR)は共同で「政治危機からのプロとしての目覚め『権威主義体制下における法的抵抗』出版記念イベント」と題するトークセッションを開催しました。本セッションには、ジョージタウン大学ローセンターのアジア法センター上級研究員であるエリック・ヤンホ・ライ(Eric Yan-ho Lai)博士を講師としてお迎えしました。また、阿古智子教授(東京大学)と但見亮教授(一橋大学)が討論者として参加しました。

ライ博士は自身の著書『Legal Resistance Under Authoritarianism: The Struggle for the Rule of Law in Hong Kong(権威主義体制下における法的抵抗 -香港における法の支配をめぐる闘い)』の学術的背景と主要論点を紹介しました。2018年から2020年にかけて実施され2022年に発表された現地調査に基づく本書は、敏感な時期における香港の法的・政治的変遷を記録した数少ない海外学術研究の一つです。本研究では、弁護士、法廷弁護士、学者、元判事を含む75名以上の法律専門家へのインタビューが活用されています。

講演の中心的な焦点は、法曹の専門性と政治権力との変化する関係性でした。ライ博士は、米国における政策空間などの国際的な場で主張を表明した後に、強い政治的・職業的反発に直面した亡命弁護士カルビン・ヤップ(Calvin Yap)の事例を論じました。続いてライ博士は、社会学的視点と法理論的視点の対比を通じて、法の支配に対する異なる理解を探求しました。法の支配は法的制度や手続きだけでなく、中立的なプロセス、恣意的な権力への制約、普遍的権利への共通のコミットメントにも依存すると主張しました。しかし権威主義的文脈では、法の支配は「法による支配」へと再定義され、法的メカニズムが国家権力を制限するのではなく行政統制に奉仕する可能性があります。本セッションではこれらの概念を「一国二制度」下の香港統治と結びつけ、2014年以降の民主化への道筋の狭まりと大規模抗議運動の台頭にも言及しました。

最後に、ライ博士は法的抵抗の主要な戦略として、市民教育、抗議者への法的サービス、専門職団体の選挙への参加の三点を特定しました。彼は、2020年以降の逮捕、情報統制、法的圧力がこれらの取り組みを著しく制約していることを強調しましたが、市民による調査と抵抗はいくつかの形で継続しています。講演後、阿古智子教授と但見亮教授がライ博士の著書について簡潔なコメントを述べました。セッションは活発な質疑応答で締めくくられました。

【イベントレポート作成】
ビラル・ホサイン(一橋大学大学院法学研究科 博士課程)
【日本語訳作成】
ナイモヴ・ベジャン(一橋大学大学院社会学研究科 修士課程)