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2024年6月28日に、法学研究科の中西優美子教授が執筆した論文、「EU庇護要件指令の国際条約に照らしたジェンダーセンシティブ解釈」が『自治研究』第100巻第7号に掲載されました。本論文では、EU庇護要件指令が難民条約を基盤としていることを踏まえ、ジェンダーセンシティブ(gender-sensitive)な視点の必要性に焦点を当て、特に女性に対するあらゆる形態の差別撤回に関する条約及び女性に対する暴力及びDVの防止に関するイスタンブール条約並びに国連難民高等弁務官事務所(United Nations High Commissioner for Refugees: UNHCR)ガイドラインに照らしてどのように解釈されるべきかを議論しています。中西教授はまず、Case C-621/21の事件概要を説明するとともに、本件が持つ意義について解説しました。本裁定について中西教授は、家庭内暴力や性的暴力から女性を保護する判示と捉えられることを指摘しています。すなわち、EU司法裁判所は、EU庇護法にジェンダーの視点を積極的に取り入れる方針を示したものであるとする見解を述べました。具体的には、女性差別撤廃条約、イスタンブール条約及びUNHCRガイドラインのような女性の権利にかかわる国際文書を積極的に活用し、ジェンダーセンシティブな解釈を通じて、女性に対する保護を強化する姿勢が明確に示された点を強調しています。
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