民主主義・人権プログラム
【GGRトークセッション】 アフリカでの難民としての私の経験
日にち2025年1月14日
時間12:40–13:40
開催場所 3302 マーキュリータワー
イベント概要

2025年1月14日、一橋大学グローバル・ガバナンス研究センター(GGR)は、一橋大学国際・公共政策大学院修士課程に在籍しているワニ・ロバート・ルパイ・ビクトル氏(Wani Robert Lupai Victor)を講師としてお招きし、「アフリカでの難民としての私の経験」と題したトークセッションを開催しました。

ルパイ氏は冒頭で、アフリカにいる難民や国内避難民、亡命希望者の数は約3,000万人にのぼり、これは世界の難民人口のほぼ3分の1を占めていることを指摘し、アフリカにおける難民の背景などを、グラフなどを用いて説明しました。

続いてルパイ氏は、難民だった自身の経験について話しました。幼い頃に通った教育施設の写真などを示しつつ、過去の難民資格申請、他地域に移住しながら食料・住居・医療などの生活用品の受給、農業作業のための土地を獲得したこと、ローカル社会に溶け込んでいく過程などについて述べました。

またルパイ氏は、難民受け入れキャンプで経験した様々な困難についても言及しました。例えば、水はタンクローリーで運ばれるため利用できる水資源には限度があることや、燃料源は薪だけであることから日常的に燃料問題に直面すること、また岩場が多いため、建造物を建てることが難しいこと、そして物品の盗難、大雨や蚊による自然被害などがあったことにも触れました。

2016年から始まった難民としての二度目の生活は、貧困で苦労した一度目の難民生活と異なっていたと振り返り、紛争や民族間の対立が発生したことで、やむをえず家族を連れずにウガンダまで逃れる必要があったこと、そしてその途中で暴漢に襲われた経験などについても話しました。また、現在のウガンダの難民政策を説明し、滞在先の選択、ビジネスの所有、雇用、ホスト・コミュニティとの交流が難民に認められていると指摘しました。この政策により、難民は家族のために土地や木材といった資源を利用する機会を得ていると説明しました。

最後にルパイ氏は、政府やNGO、国際社会が、難民の人権を尊重した解決策を打ち出し、難民を支援する団体への寄付、地域社会で難民危機に対する意識を高めることやボランティア活動を行うことで、難民の権利を擁護することなどの難民救済のための国際協力の必要性を呼びかけました。

質疑応答では、難民の家族とのコミュニケーションを助けるために、どのようなアクターがソーシャルサポートを行なっているのかという質問に対し、ルパイ氏は、特に難民救済という文脈において、国際組織などのパートナーが最も重要な役割を果たしていると述べました。

【イベントレポート作成者】
厳豊(一橋大学大学院法学研究科 修士課程)
熊坂健太(一橋大学国際・公共政策大学院 修士課程)
中島崇裕(一橋大学大学院法学研究科 修士課程)