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2024年9月に、法学研究科の青野利彦教授が執筆した章である“The Cold War in Asia After 1953”が収められた書籍、Asia Rising: A Handbook of History and International Relations in East, South and Southeast AsiaがSpringerより出版されました。本書は、国際関係の観点からアジアの歴史を包括的に取り上げています。本章で青野教授は、1950年代初頭以降、米国、ソ連、中華人民共和国の3カ国間の関係の発展と変容がアジアにおける冷戦の焦点となったという洞察を踏まえ、東アジア、東南アジア、南アジアの重要な出来事を対象とした分析を通して、1953年以降のアジアにおける冷戦を概観しています。青野教授は、1953年から1989年にかけての米ソ中「三角関係」の変遷は、米ソ中間の分裂と超大国間の緊張緩和がもたらしたものであり、アジアにおける地域紛争の経過を形作り、またその逆も然りであったと論じています。そして、冷戦の終結がアジアにおけるその後の地域紛争に与えた影響について包括的な一般化を行うのは難しいとした上で、米ソの敵対関係の終結と中ソ関係の正常化による大国の介入の停止が、地域紛争の解決の背景となった一方、これらの紛争の終結は、アジア各地域のアクターや紛争当事者に依存していたと強調しました。
https://link.springer.com/book/10.1007/978-981-97-4375-9