【GGR ブラウンバッグランチセミナー】1973年石油危機におけるイギリスと日本の役割 −ワシントンの寡黙なパートナーたち
日にち2024年11月27日
時間12:40-13:40
開催場所マーキュリータワー 3302
イベント概要

2024年11月27日、一橋大学グローバル・ガバナンス研究センター(GGR)は、第33回GGRブラウンバック・ランチ・セミナー「1973年石油危機におけるイギリスと日本の役割 ―ワシントンの寡黙なパートナーたち」と題したセミナーを開催し、講師に新潟県立大学専任講師のミラー枝里香教授をお迎えしました。

ミラー氏はまず、1973年の石油危機に関する重要事項を4点挙げ、①それまで石油メジャーが決めていた原油の公示価格を、石油輸出国機構(OPEC)が独自に1.5倍に引き上げた、②アラブ石油輸出国機構(OAPEC)が第四次中東戦争によって生産制限を行った、③OAPECが、第四次中東戦争によって消費国を格付けした、④その結果、市場での石油価格が急騰したことを説明しました。次に、アメリカとサウジアラビアの関係、価格高騰をきっかけとした情勢不安や共産主義の拡大、また欧州共同体が、アメリカやサウジアラビアが主導する石油秩序と距離を置いたことなどから、国際関係が多角化したという3つの視点から、1973年の石油危機と、それが及ぼした国際関係や国際秩序への影響について言及しました。

さらにミラー氏は、新たに開示されたイギリス、ヨーロッパ、そしてアメリカの関係性を示す資料に基づき、また当時の日本政府が掲げたエネルギー政策なども参考しつつ、実際にはイギリスや日本が、石油秩序形成および中東和平プロセスにおけるアメリカの主導性を強めたことを指摘しました。その後、アメリカによって新エネルギーによる秩序形成が成されたことからも、石油危機によって西側が分裂することはなかったことを説明しました。

質疑応答では、例えば、1973年の石油危機の際、他の国々は経済成長を遂げていたにも関わらず、日本は損失を被っていた状況について議論が展開されました。さらに、新しい資料の見つけ方については、キーワードとなる語句で検索し、それに関連する文献をできる限り多く読むことが重要であると回答しました。

【イベントレポート作成者】
厳豊(一橋大学法学研究科 修士課程)
熊坂健太(一橋大学国際・公共政策大学院 修士課程)