民主主義・人権プログラム
[GGR集中セミナー] 偽情報に対抗し民主主義を守るには
日にち 2024年9月2~5日
開催場所マーキュリーホール
イベント概要

2024年9月2日から5日にかけて、一橋大学グローバル・ガバナンス研究センター(GGR)は、「偽情報に対抗し、民主主義を守るには」と題し、全国から11名の学部生・院生を交え、4日間の集中セミナーを開催しました。セミナーでは、第一線で活躍する学者や活動家を講師として招き、講義が行われました。また参加者は、テーマ別で4グループに分かれ、偽情報とその対策について実践的な議論を行いました。
初日には、一橋大学法学研究科の市原麻衣子教授は、偽情報とナラティブの役割について講義を行いました。市原教授は、情報の操作や権威主義的なナラティブの拡散が、民主主義的価値を受け入れる人々の認識を変える可能性があることを指摘しました。そのため、偽情報の影響を受け得る人々に対し、あらかじめ異なるナラティブを提示することが重要であることを指摘しました。午後の部では、サッシャ・ハニグ氏(一橋大学大学院博士後期課程)が、民主主義における信頼の重要性、分極化とインフルエンサー、国際レベルでの反民主主義的ナラティブという3つの視点から、偽情報が民主主義にとってなぜ危険なのかについて説明しました。セミナーの中盤では、古田大輔氏(日本ファクトチェックセンター編集長)とツェン・ポーユ氏(ダブルシンク・ラボコンサルタント)による実践性を考慮した講義が行われました。古田氏は、検証されていない情報によって人々がどのような心理操作を受けるかを表す例をいくつか挙げ、複雑な情報を合理的に判断するために、情報源の検証とスロー・シンキングの重要性を強調しました。またツェン氏は、偽情報の消費者に理解される、人間中心的なアプローチを提起し、偽情報に対抗するより積極的な戦略について言及しました。最終日には、東京大学情報学環の林香里教授が、事実かナラティブかを評価する2つの異なるパラダイムを取り上げ、学生らに良質なジャーナリズムとは何かについて考えさせました。

【イベントレポート作成】
中島崇裕(一橋大学大学院法学研究科修士課程)
岸晃史(一橋大学法学部学士課程)
チョン・ミンヒ(一橋大学大学院法学研究科博士後期課程)

【日本語翻訳】
熊坂健太(一橋大学国際・公共政策大学院修士課程)