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2024年12月10日に、法学研究科の市原麻衣子教授が執筆した論文、「情報戦は社会の「分断線」を狙った ―ロシア、中国、イランによる大統領選挙影響工作」が『外交』に掲載されました。本論文で市原教授は、2024年米大統領選挙における過去最大規模の影響工作がどのように行われたのか、そのプレーヤーと手法の特徴を説明し、選挙に与えた影響について分析しています。まず、対外アクターであるロシア・中国・イランの介入目的及び手法は同一ではなかったが、なりすましサイトや生成AIが攻撃に活用されたという点で共通項を持つと指摘しました。そして選挙介入がどの程度選挙結果に影響を与えたのかについて、以下の2点を特筆すべき点として挙げました。第一にソーシャルメディア上で行われた影響工作は、「いいね」やリポストを大規模に獲得することはなかったこと、第二に米大統領選挙を経た米国社会は相互不信が強まっているということです。最後に、情報戦に対して強靭な民主主義社会を作るには、社会の中に生きる人々の対話を促進し、他者に対する信頼感を醸成する必要があると強調しました。