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2024年10月、法学研究科の市原麻衣子教授が執筆した論文、「権威主義国によるSNSを通じた影響工作 -その目的・手法と日本の対応」が『治安フォーラム』に掲載されました。本論文で市原教授は、権威主義国によるSNSを通じた影響工作の目的と対象・手法について説明するとともに、日本の影響工作への対処法と課題について論じています。まず、影響工作を行う目的は、国家レベル、社会レベル、個人レベルに大別されるとした上で、三つのレベルは相互に連関し合っていると説明しました。また、SNS上における影響工作の手法としては、様々なアカウントや媒体から大量の偽情報や悪意ある情報が発信され、連携するアカウントには中国やロシアとの結びつきが目立ちにくい現地アクターが利用されることも多いと論じました。さらに、米国やEUをはじめ各国政府の対応策を概観した上で、日本政府も影響工作への対応を加速させていることを評価しました。一方で、対象が偽情報に偏りすぎていること、日本政府機関間の連携だけでは不十分であること、民間の能力を動員する取り組みが弱いことを日本の影響工作への対応策の弱みとして挙げました。