リベラルな国際秩序のリベラルな特徴
―理解への補助線とリベラルな要素の類型
守谷優希
(一橋大学大学院法学研究科 博士後期課程)
2024年12月13日
序論
ミネルヴァの梟は、夕暮れの訪れとともにようやく飛び始める[1]
―ゲオルグ・ヴィルヘルム・フリードリッヒ・ヘーゲル(Georg Wilhelm Friedrich Hegel)
「リベラルな国際秩序(liberal international order: LIO)」とも称される第二次世界大戦後の国際秩序の後退や危機に関する議論は絶えない。議論の興隆の契機となったのは、イギリスの欧州連合(European Union: EU)離脱やドナルド・トランプ(Donald Trump)のアメリカ大統領当選といった象徴的な出来事によって「歴史的な転換点[2]」ともされる2016年のことであった[3]。とはいえ、2001年のアメリカ同時多発テロリズム事件以降のアメリカの軍事的プレゼンスの高まりに伴う反アメリカ政治の台頭や2000年代以降のブラジルや中国、インド、ロシアといった非西洋諸国の台頭、さらにはジハード主義と西洋諸国との対立や民主主義の後退といった出来事を巡って、国際秩序の状態への懸念は長く論じられてきた[4]。近年では、新型コロナウイルス感染症(Coronavirus disease 2019: COVID-19)パンデミックや2022年に始まったロシアのウクライナ侵攻等に際して議論が展開された[5]。
このように再三に渡って動揺や危機が指摘されてきたLIOだが、内在的な理解の深化の試みは限定的であり、その詳細な意味合いは判然としない[6]。確かに、LIOを的確に把握し、包括的に理解することはほぼ不可能である。そもそも国際関係というものが極めて広範で複雑な社会現象であり、得られる情報やデータの質と量の双方に課題もあることから、精緻な全体像を捉えることが難しい[7]。その上で、LIOを含めた国際秩序は特に複雑性と抽象度が高い概念である[8]。さらには、絶えず変化する動態的なものでもあり[9]、その全貌は、究極的には終焉を以てようやく明らかにすることができるものでもあると言える。
しかし、国際秩序とは学問分野としての国際関係学と現実の国際関係の双方における中心的課題であり、その理解を深めることは学問的にも政策的にも肝要である[10]。特に今日における政策的重要性を鑑みれば、現時点で可能な限りの理解に向けた試みは不可欠とさえ言える。たとえ全貌の包括的な把握が無理難題であっても、重要な論点や側面を見出して補助線を引くことで有用な含意を獲得して少しでも理解を進展させることは可能であり、学術的にも意義がある作業である。LIOに関して特に注目されるべきは、そのリベラルな要素や特徴である。リベラルな価値や規範に反する行為主体の存在や行動を受けて不安定化や危機が指摘される傾向のあるLIOだが[11]、同時にリベラルな特徴や要素が何を意味するのかがLIOに関して最も不明瞭であるとも指摘されているのが現状である[12]。果たして、LIOとはいかなる意味合いにおいて「リベラルな」特徴や要素を有する国際秩序なのだろうか?この問いに取り組むことによって、本稿はLIOの理解における重要な含意を提供する。
本稿はまず、国際秩序論におけるLIOの位置付けを確認し、その上で概念を巡る混乱の状況を概観する。その後、リベラルな特徴や要素に焦点を当てたLIOの理解を整理する。ここでは、LIOが間主観的なものであることを踏まえ、リベラリズムの思想からLIOの内実に関する解釈を提示するのではなく、既存の議論においてリベラルと捉えられた内容を振り返ることでLIOのリベラルな要素や特徴を見出していく。また、包括的にリベラルな特徴や要素を捉えるのではなく、政治的なリベラルな特徴や要素、経済的なリベラルな特徴や要素、社会的なリベラルな特徴や要素、国際関係学におけるイズムとしてのリベラリズムを念頭に置いた特徴や要素の4つの異なる側面に分類することで整理を行う。
I. 国際秩序論とリベラルな国際秩序概念
1.国際秩序の定義と捉え方
LIOに限らず、国際秩序という概念を理解することは難しい。その要因の一つには国際秩序に関する詳細な考え方が論者毎に様々であることが挙げられる。しかし、個々人の主観的なイメージが国際秩序を意味するわけではない。とはいえ、国際秩序とは主観から完全に独立する客観的なものでもない。国際秩序は間主観的なものである。間主観とは、社会における主体の集合的な知識として構成されている社会的な現実を意味するものであり、主体の行動に影響を与えるのみならず、主体の行動によって変化するものでもある[13]。
そもそも秩序とは、何かしらの相互的な関係性について、ランダムな行動によるのではなく、何かしらの認識できる原理に基づいた相互的な行動や関係性のパターンを見出すことが出来る場合に成立しているとされる。国際秩序については多くの場合、まず最も主たる行為主体を国家とした上で[14]、その行動様式に一定程度の規則性があることとその帰結等についての一定程度の予見可能性があることが重要な要件として挙げられてきた[15]。
こうした理解は議論に際して定義として提示されることが多いが、場合によっては定義の内容に留まらない別の側面に注目するものも見られる。まず、国際秩序とは行為主体による行動様式という動的なものであるはずだが、静的なものである国際体制(international system)を指して論じられる傾向が見られる[16]。国際体制とは行為主体や規則、制度等によって構成されているが、相互に連関する要素の総体のことであり[17]、実際に表出する行動様式と予見可能性である国際秩序とは似て非なるものである。そして、そうした体制の差異から時代や文明の区分を見出し、特定の時代や場所における特有の国際体制を指して国際秩序とする捉え方が多く確認される[18]。
加えて、たとえばマイケル・クラーク(Michael Clarke)が国際秩序の断層線に戦争が存在すると記しているが[19]、戦争や大国の存在を関連させて論じられることも多い[20]。こうした場合、現状維持勢力にとって望ましい国際体制やドクトリンを指して国際秩序と言及される傾向がある[21]。ヘドリー・ブル(Hedley Bull)が指摘したように、平和的なより良い世界像等の望ましい国際関係の在り方が念頭に置かれた、政治的・思想的な議論が展開されてきたと言える[22]。
そもそも、国際関係における安定がいかなるものかを想定することが容易ではない。上述からも伺えるように、政治思想の影響は強く、近代以降の国際秩序像の想起や国際関係における実践は古代や中世の思想が密接に関係している[23]。それ以外にも、他の社会領域との類推によって国際関係の機能や安定が想定されてきたことも指摘され、国際関係における国内秩序に見られる命題の成立を想定する国内類推論(domestic analogy)と分権的な自由市場経済の機能との類推から国際協力の実現を想定する市場類推論(market analogy)の2つの系譜が確認される[24]。
このように、国際秩序の捉え方は視点や文脈毎に様々であり、様々な意味合いや論点が十分に整理されずに混在してきた。国際秩序は学問分野としての国際関係学と現実の国際関係の双方における中心的課題であり[25]、あらゆる時代において国際関係に携わる学者の知的好奇心と職業的責任感を強く刺激してきた。しかし、それゆえに提示される考えは多種多様であり、それらが絡み合いながら積み重なることで十分に体系化されないまま国際秩序論が形成されてきた。こうした国際秩序論の雑多性と国際秩序の多様な理解というそもそもが、LIO概念の不明瞭さの一因となっていると言える。
2.リベラルな国際秩序論の登場と理解を巡る混乱
LIO概念が本格的に登場し、論じられるようになったのは冷戦後のことである。1989年12月のマルタ会談における冷戦終結の宣言と1990年の湾岸危機への対応後の「新世界秩序(new world order)」という当時のアメリカ大統領ジョージ・H・W・ブッシュ(Geroge H. W. Bush)の発言が、国際秩序を巡る議論に新たな展開をもたらすことになった[26]。たとえば、ティモシー・ガートン・アッシュ(Timothy Garton Ash)はLIOを、暴力的な無秩序と非民主的な実力行使による覇権秩序という両極端なヨーロッパ国際社会像を避けようとする試みであり、EUや北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty Organization: NATO)、欧州評議会(Council of Europe)といった機構によって構成されるものとした上で、冷戦後のヨーロッパが向かうべき先は統合ではなくLIOであると論じている[27]。
国際秩序論において主要な論題となったLIOもまた、多様な理解や議論が複雑に絡み合って展開されてきた。たとえば、基本的に第二次世界大戦後の国際秩序として理解されるLIOだが、例外的な議論も確認される。LIO論を牽引してきたG・ジョン・アイケンベリー(G. John Ikenberry)は、第一次世界大戦後の戦間期の国際秩序もまたLIOであったと論じている。アイケンベリーはLIOを開放的で緩やかなルールに基づいた進歩的な国際秩序と広く捉えており、厳密に単一の形態を採るのではなく、時代毎に適した異なる形で成立するとしている[28]。その上で、勢力均衡を原理とする国際秩序が成立していた第一次世界大戦以前とは異なる国際秩序を求めて、当時のアメリカ大統領であったウッドロー・ウィルソン(Woodrow Wilson)が国際協調や法の支配、正義の原則を基礎とし、公開外交や紛争の平和的解決、集団的安全保障といった原則や制度による国際秩序構想を示し、その後ヴェルサイユ体制によって成立したものがLIOであったと論じた[29]。
主流の理解は、第二次世界大戦後にアメリカの主導によって成立した、多国間協力を通じて各国がグローバル公共財の恩恵を受けられる、リベラルな価値に基づいた国際秩序をLIOとするものである[30]。しかし、やはり詳細な理解は様々であり、冷戦の前後で異なる形態のLIOを見出す議論のほか[31]、成立したものと見做すのではなく、国際秩序の実現に向けた運動であるとする議論も確認される[32]。基本的には、主導国・覇権国としてのアメリカの役割と特に国際機関を中心とした多国間の国際協調の2点が重要な要素として論じられてきたが、どちらをより重視するかを巡って異なる理解があり、絡み合ったまま議論が進展してきたと整理できる[33]。
3.重要課題としてのリベラルな要素と特徴
上述の整理に見られた構造や制度等への注目は、LIOを理解する上で有用である。しかし、それらの側面以上に価値や思想に着目することが特に重要となるはずである。「リベラルな」と形容された国際秩序概念であることはもちろんだが、マリオ・コイヴィスト(Marjo Koivisto)とティム・ダン(Tim Dunne)が指摘したように、LIOの不安定化や危機はリベラルな価値や規範に貢献しない行為主体の存在や行動を受けて論じられることが多い[34]。しかしながら、同時にリベラルな特徴や要素が何を意味するかがLIOに関して特に不明瞭であるとも指摘される[35]。学問的にも政策的にも、LIOがいかなる意味合いにおいて「リベラルな」特徴や要素を有するかを明らかにすることは喫緊の課題とすら言えるのである。
「リベラルな」という形容の中身を考えるにあたっては、いわゆるリベラリズムの思想や関連する価値との関連性を考えるのが自然だろう。しかし、実際には「リベラルな思想や価値がいかなるものか」という観点からLIOのリベラルな特徴や要素の理解を試みることには問題が指摘される。そこで、次節においてはまず、特にLIOにおける思想的基盤ともなっている理論であるリベラルな国際主義(liberal internationalism)の内容を整理しつつ、リベラリズムの思想を頼りにLIOを理解することが適切でないことを示す。その上で、逆にLIOの議論において言及されてきた国際秩序のリベラルな要素や特徴を捉えることが適切であると説明し、実際に整理を行う。
II. リベラルな特徴に着目した既往の議論の整理
1.リベラルな国際主義
LIOにおけるリベラルな要素や特徴を考える上で、関連性がよく指摘されるリベラルな国際主義は無視できない。たとえば、アイケンベリーはLIOのより詳細な理解として、ウェストファリア的な主権国家体制を基盤に近代化の流れの中で発展したものであるとし、その原則としてリベラルな国際主義の存在を指摘している。ここでのリベラルな国際主義とは、各国が共通の利益を得るために貿易や協力を行う、開かれ、ルールに基づいた国際秩序像を想起し、民主化によって推進される市民社会と世界の進歩を目指すものであるという[36]。
主要とは言い難いが、国際主義(internationalism)は国際関係学にとって分析と規範の双方に通底する重要な理論である[37]。これは、人類が国民や国家等の単位以上の広い共同体の一部であると捉え、さらにはそうあるべきであるという世界像を提示するものである[38]。国際主義は、覇権的国際主義(hegemonic internationalism)やマルクス主義的国際主義(Marxist internationalism)、反グローバル国際主義(anti-global internationalism)等の様々な分類が為されるものであり、リベラルな国際主義はそのうちの一つである[39]。
リベラルな国際主義は、独立した社会や自立した個人による平和や繁栄といった共通の目的のための協力や協調の実現が可能であるとする考え方を前提にしている。その上で、17世紀以降の各時代や政治や経済、文化といった様々な領域において、リベラルな国際主義が見出すことができると指摘されてきた[40]。LIOに関する議論においては、普遍的な思想と特にアメリカの外交政策方針との2つの異なる意味合いでリベラルな国際主義は論じられてきたと言える。前者・後者を問わず、いずれの場合においても国家が自由民主主義や自由市場経済を体制として導入するのみならず、世界的にそれらの重視や導入を促進する他、さらには国際機構等の制度を通じた多国間国際協調によって平和と繁栄を目指す考え方と理解されている[41]。しかし、後者の考え方においては、前者に見られた考え方を導入したアメリカの外交政策のドクトリンであり、アメリカのパワーを考慮することが不可欠であるとされている[42]。
以上の整理からも伺えるように、思想的な基盤としてLIOの背景に見出すことができるリベラルな国際主義はリベラリズムの思想と無関係ではない。しかし、だからといってLIOのリベラルな要素や特徴を理解するに当たって、リベラリズムの思想から包括的な把握を試みることは妥当ではない。個人主義や自由、寛容といった広く共有される要素はありつつも[43]、リベラリズムの詳細な内容は論者毎かつ時代毎に異なるものであり、標準的かつ正統な定義や説明を見出すことはできないとされる[44]。リベラリズムは体系化された思想であるというよりも、ダンカン・ベル(Duncan Bell)が論じたように、リベラルを自認する者によってリベラルであると承認・分類されてきた議論の総体であると見做さざるを得ない[45]。何よりも、ジョン・ダン(John Dunn)が重要な要素として専制政治への敵意や保守主義と伝統全般への文化的な嫌悪を挙げているように[46]、ある要素や側面をリベラルと判断する背景には論者個人の政治信条や感情に基づいた選好の影響が無視できない。
本稿の目的は、著者の属人的な国際秩序観を提示することではなく、LIO概念の理解のためにそのリベラルな要素や特徴を明らかにすることである。そのためには、抽象的な思考の共有による間主観的なものであるLIOのリベラルな要素や特徴を捉える必要がある[47]。たとえば、LIOの議論から見出された要素をリベラリズムの思想に立脚してリベラルなものか否かを評価することは著者の主観的な分析となってしまうため、ここでは適切ではない。既存のLIOの議論において何がリベラルな要素や特徴とされてきたかを整理することが求められるのであり、そうした作業においては論者間で共有されるLIOの理解を考察することができる先行研究レビューが最も有効な手法となる[48]。
2.リベラルな要素の分類
これまでにも、LIOの要素や特徴を見出す試みは行われてきた。そうした模索の多くでは、リベラルな要素や特徴の類型化が行われている[49]。たとえば、山本吉宣らは、リベラルな要素には様々な側面があるのみならず相互対立も見られるとした上で、それぞれの要素や側面毎に実現の度合いが異なると指摘し、異なる側面に分けて捉えることが不可欠であると指摘した。その上で、①自由貿易と開かれた経済を重視する商業的(経済的)リベラリズム、②ルールや法の支配、国際制度を重視する制度的リベラリズム、③民主化や人権を尊重する価値的リベラリズム、④非政府行為主体のトランスナショナルな影響を重視する社会的リベラリズムの4つの分類を示している[50]。また、ハンス・クンドナニ(Hans Kundnani)も「リベラルな」という意味合いの曖昧性を指摘した上で、①権威主義に対しての政治的なリベラリズム、②鎖国経済主義や重商主義に対しての経済的なリベラリズム、③リアリズムやその他の国際関係学の理論に対してのリベラリズムの3つの分類を示した[51]。
また、直接的にリベラルな要素や特徴を分類するわけではないが、政策領域による分類を通してLIO概念を整理する試みも見られる。ダニエル・M・クリマン(Daniel M. Kliman)とリチャード・フォンテーン(Richard Fontaine)は、①互恵主義と無差別の原則を前進させる貿易秩序、②通貨や財政を安定させる金融秩序、③領域主権と航海の自由に基づいた海洋秩序、④核兵器の拡散の防止と核実験の減少に寄与する不拡散秩序、⑤基本的な自由と民主主義に根付いた人権秩序の5つの分類を示した[52]。また、①参加者全てにより大きな利益をもたらすことができるリベラルな経済秩序、②民主的なガバナンスを好むリベラルな政治秩序、③20世紀前半に壊滅的な危害をもたらした大国を抑制する戦略秩序の3つの分類を提示した議論も確認される[53]。これらの分類もまた、結果としてリベラルな要素や特徴を側面毎に分けて捉えていることが伺える。
以上の既存の分類を総合して、本稿は①政治的なリベラルな要素や特徴、②経済的なリベラルな要素や特徴、③社会的なリベラルな要素や特徴、④国際関係学におけるイズムとしてのリベラリズムを念頭に置いた特徴や要素の4類型を提示する(下表参照)。政治的なリベラルな要素や特徴としては、主に国内と国際の双方における人権の重視や民主主義が該当する。経済的なリベラルな要素や特徴としては、金融の役割も含めた自由市場経済と自由貿易が該当する。社会的なリベラルな要素や特徴としては、市民社会と社会におけるトランスナショナルな交流が該当する。そして、国際関係学におけるイズムとしてのリベラリズムを念頭においた特徴や要素としては、国際関係における法の支配や国際制度が該当する。この分類に基づいて、既存の議論におけるLIOの理解のレビューを行い、以下に整理する[54]。
論者 | 分類 | ||||||
本稿 | 政治的 | 経済的 | 社会的 | 国際関係学 | |||
山本ら | 制度的 | 価値的 | 商業的 | 社会的 | |||
クンドナニ | 政治的 | 経済的 | 国際関係学 | ||||
クリマンとフォンテーン | 人権秩序 | 貿易秩序 | 金融秩序 | 海洋秩序 | 不拡散秩序 | ||
ロバート・ケーガン(Robert Kagan)ら | 政治秩序 | 経済秩序 | 戦略秩序 |
各種分類の差異[55]
3.政治的なリベラルな要素と特徴
LIOの最重要要素の一つとして、その構成国が民主主義国であることや民主主義の国際的な促進に言及されてきた[56]。しかし、民主主義が必ずしもリベラルとは限らないことはカール・シュミット(Carl Schmitt)が指摘した通りであり[57]、立憲主義や人権を尊重しない、権威主義的要素が混在する民主主義的政治体制が実際に存在する[58]。今日のLIOの文脈で言及される民主主義とは、自由で平等な選挙や法の支配、権力の分立等を実装する自由民主主義を指すものである[59]。
民主主義が重視されているのは、人間の自由や人権を保護し、促進する政治制度と考えられているためである[60]。特に、歴史を自由に向けた進歩の過程とし、イデオロギー闘争の決着と政治体制の終着点である自由民主主義の普遍化を「歴史の終焉」としたフランシス・フクヤマ(Francis Fukuyama)の議論の影響が強く見られる[61]。また、特にLIOの源流としてウィルソン主義の存在が指摘されるにあたっては、民主主義国家同士の関係はまず戦争にはならないだろうとする規範としての民主的平和(democratic peace)が言及される[62]。こうした考え方もまた、民主主義の国際的な普及の重視に影響していることが伺える[63]。
人権もまたLIOにおける重要な要素だが、自国民の保護の能力と意志のない国家に対して国際社会が責任を負うという「保護する責任(Responsibility to Protect: R2P)」に基づいた対外介入を巡っては論争が見られる。これは国家主権と対立する側面があり、内政干渉ともなることから、非民主主義国、特に権威主義国の反発が強く、LIOの基盤の不安定化につながったとの指摘がある[64]。
4.経済的なリベラルな要素と特徴
経済に関連した要素としてLIOについて重要視されているのが自由貿易である。1930年代、世界恐慌をきっかけに各国が国内経済を重視するようになると、当時の経済大国は近隣諸国を自国の経済的な勢力圏に取り込むことで排他的なブロック経済を形成していった。このブロック経済が第二次世界大戦勃発の重要な要因とされた上で、平和の確立に向けた自由貿易体制の必要性が重視されてきた[65]。
とはいえ、今日の自由貿易体制は無制約に自由化されているわけではなく、条件や制約が内包されている[66]。特に、1971年にブレトン・ウッズ体制が崩壊したと認識され、1973年と1979年の石油危機において国内の政治事情が関税および貿易に関する一般協定(General Agreement on Tariffs and Trade: GATT)のルールに優先される傾向が強まると、以降は各国における輸入制限措置の導入が目立つようになった[67]。LIOの経済的なリベラルな要素や特徴として言及される自由貿易に関して、1995年に設立された世界貿易機関と二国間や多国間で締結される自由貿易協定の役割が言及される[68]。また、自由貿易体制を支える通貨・金融的基礎として国際通貨基金と世界銀行についても言及がある[69]。
加えて、経済の体制として重視されているのが自由市場経済である。前項において既出の人の自由や人権に関連して、自由市場経済もまたそれらの保護と発展の役割を持つとされる[70]。基盤にある資本主義は、生産や流通を国家が集中管理する社会主義とは異なり、企業や家計といった市場参加者が自由であり、生産や消費を主体的に決定できるという自由市場と私的所有権を重要な特徴とする[71]。加えて、開放性がLIOの重要な特徴ともされており、それによって推進されたグローバル化についても言及がある[72]。そして、特にこのグローバル化の進展を受けて、相互関連する民主主義と自由市場経済との間のバランスが崩れたことでポピュリズムの台頭に繋がり、LIOの不安定化や危機がもたらされたとする議論が多く見られる[73]。
5.社会的なリベラルな要素と特徴
市民社会もまたLIOの重要な構成要素として言及されてきた。ダニエル・ドゥードニー(Daniel Deudney)とアイケンベリーは、政治秩序における共同体意識や共通のアイデンティティの必要性を指摘した上で、民主主義や立憲主義、個人の権利、私有財産と資本主義、民族や宗教に関する多様性等が中心となって構成される市民アイデンティティが重要な役割を果たしていると指摘している[74]。そうしたアイデンティティは、家族と国家の中間に位置し、市民が公共的な活動を行う領域である市民社会と密接に関係する[75]。
市民社会には個人のみならず、社会運動や職業的な共同体、女性や若者、難民といった特定の社会的対話に関するコミュニティ組織、ナショナリズム運動や宗教運動等の行為主体が確認されるが、特に重要視されるのが非政府組織(non-governmental organization: NGO)である。NGOとは、特に平和や開発、環境、人権等の分野における目的に向けて役割を果たそうとする社会的単位であり、金銭的な収益よりも価値を重視する利他主義的な組織である[76]。LIOに関連しては、特にアメリカが様々な国家におけるNGO等の支援と育成を行ってきたが、アメリカ政府に対峙する活動も見られ、普遍性を持った活動が広まったことが伺える[77]。また、市民の活動や行為主体の関係性はトランスナショナルなものとなっており、今日の市民社会の在り方はグローバルな市民社会と呼び得るものになっている[78]。このグローバルな市民社会は、人権や環境等の課題の活動家やNGO等の行為主体が国境を越えて活動、交渉、ロビイング等を行うプラットフォームとして機能し、役割が増大している[79]。
しかし、市民社会には個人の権利や民主主義といった市民アイデンティティを重視せず、むしろ憎悪や不寛容、偏見、無知等を広める行為主体の活動も見られ、無視できないものとなっている[80]。さらには、権威主義の浸透や影響力工作が確認され、問題視されている[81]。特に深刻なものとして指摘されているのが、虚偽情報の拡散である。特にLIOにとっての歴史的な転換点ともされる2016年のイギリスのEU離脱やトランプのアメリカ大統領当選において、虚偽情報の拡散は市民社会における公共的な議論や活動に重大な影響をもたらして以降[82]、その影響が懸念され続けている[83]。また、虚偽情報の発信や拡散に際してロシアと中国による世論誘導や情報工作が確認されている[84]。これらの要因を踏まえて、社会的なリベラルな特徴や要素を巡っても、LIOへの悪影響が指摘されている。
6.国際関係学におけるリベラリズムに関連する要素と特徴
特に多国間の国際協調や国際機関の役割が重要視されて言及する際、LIOの背景に現状変更勢力による武力行使や勢力均衡、勢力圏といった国際関係の伝統的な特徴の否定という規範の存在が見出される[85]。理論には様々な意味合いが含まれるが[86]、以上の考え方は広く学派としてのリベラリズムの系譜に内包される[87]。
ここで特に重要視される要素がルールや法の支配である。紛争の法的解決が必ずしも担保されているわけではないが[88]、少なくとも法の支配を規範として見做す認識は確認されると言える[89]。アイケンベリーは、ルールに基づく国際秩序の成立に際して、主導する大国が自国も含めた構成する各国の行動やパワーの行使の制限に賛同し、決定の機会を促進する機構と開かれた政体の構造によって大国の退出や大国による支配の機会を減らすことが根付いている点においてLIOは立憲主義的な国際秩序であるとしており、国際機関が重要な役割を担っているとする[90]。国際連合等の主要な国際機関は、安全保障や貿易、気候変動等の様々な政策領域における多国間国際協調を機能、促進させてきた[91]。さらには、国際機関は政治的、経済的、社会的なリベラリズムの規範の国際的な拡散と推進にも貢献してきたとされる[92]。
終わりに
危機にあるとされる今日、LIOという概念がいかなるものかを改めて考える意義は大きい。しかし、LIOを的確かつ包括的に把握することは極めて困難である。本稿は、リベラルな要素や特徴への着目が重要なアプローチとなることを示した上で、LIOの理解に資する含意の提示を企図したものである。リベラリズムの思想を頼りにLIOの理解を試みるのではなく、既存の議論において「リベラル」とされた要素や特徴を抽出し、政治的、経済的、社会的、国際関係理論的の4つに分類して整理を行った。
LIOについての理解を深めることは、同時に何がLIOにおける危機なのかについての理解を深めることにも繋がる。「危機」という用語は学術と政策の双方において修辞的に言及されることが多いが[93]、本来ならば冷静な評価と共に危機とされる課題や問題が提示される必要がある。たとえば、トランプについてはその存在があらゆる意味合いでLIOの危機を示しているかのように指摘されることも多い[94]。しかし、本稿の提示したLIO理解を踏まえて2024年の大統領選挙における共和党の政策綱領案の内容を検討すれば、保護主義を重視している点でLIOの中でも経済的側面に問題をもたらしていること、移民への強硬な政策等がLIOの中でも社会的側面に問題をもたらしていること、軍事力の増強による勢力均衡的な安全保障政策という点でLIOの中でも国際関係理論的側面に問題をもたらしていること等の解釈の提示が可能である[95]。また、そもそもトランプ本人が2020年の大統領選での落選という結果を認めていないという自由民主主義に関わる根本的な問題はありつつも[96]、少なくとも政策綱領案においてより適切な選挙実施のための改善に言及している点についてはむしろLIOの中でも政治的な側面に沿ったものとなっているとも見ることができる[97]。このように、類型化を踏まえることで社会現象に補助線を引き、LIOの状態についてのより精緻な分析を進める上での足がかりを得ることができる。
本稿はあくまでもリベラルな要素と特徴に着目したが、覇権国としてのアメリカの役割といった他の要素もまたLIOの理解を深める上で検討される必要がある。また、本稿は4つの分類による整理を行ったが、それらは相互に作用するものでもある。LIOのリベラルな要素と特徴がそれぞれどのように連関しているかについての理解を深めることは今後の課題として重要である。本稿のアプローチや整理を踏まえて、さらには異なるアプローチによる多角的な検討によって、LIOの一層の理解に向けた取組の進展と発展が期待される。
国際関係学という学問分野の基盤には、平和の希求がある[98]。その知恵と知見が社会や政策の課題解決に活用されることは当然望ましく、期待もされる[99]。LIOの動揺や危機を巡る議論の興隆においては、LIOなる秩序は存在しないとする指摘や[100]、現状は危機ではないとする指摘までもが確認される[101]。これらの議論が重要であることに疑いの余地はない。しかし、これらの思索の大前提となる、LIOがいかなる概念かについての体系的理解が進んでいないことは重大な問題である。社会や潮流から一歩身を引いた思索と考察もまた、学問の果たす重要な役割である[102]。国際秩序が黄昏を迎えているように受け止められる今日、冷徹で俯瞰的な考察をミネルヴァの梟に委ねることもまた国際関係学が為し得る重要な貢献である。
【謝辞】
本稿は、2021年度一橋大学大学院法学研究科「次世代の法学研究者・法学教員養成」プロジェクト 先端的・実践的研究活動支援「リベラルな国際秩序と主権国家体制の変容に関する理論的研究」による研究成果を発展させたものである。成果を発表するための再挑戦の機会をくださったのみならず、原稿を1年も待ち続けてくださった市原麻衣子教授(一橋大学)に深謝の意を表する。また、本稿は2023年度公益財団法人 村田学術振興・教育財団 研究助成(人文)「偽情報の拡散・抑制要因分析 ―日本、英国の国際比較研究―」による研究成果の一部でもある。
[1] ヘーゲル(上妻精ほか訳)『法の哲学 (上) ―自然法と国家学の要綱』(岩波書店、2021年)、40ページ。 [2] G・ジョン・アイケンベリー(浅野亮訳)「G・ジョン・アイケンベリー「トランプ後の国際自由主義秩序」講演録(日本語訳) ―国際シンポジウム「南シナ海問題と世界秩序の未来」(2018年1月27日)基調講演―」『同志社法学』70巻6号(2019年)、369ページ。 [3] 政策シンクタンクPHP総研『自由主義的国際秩序の危機と再生 ―秩序再編期の羅針盤を求めて―』(PHP研究所、2018年)、32ページ;納家政嗣、安野正士「「ガラス細工」のリベラルな国際秩序」納家政嗣、上智大学国際関係研究所編『自由主義的国際秩序は崩壊するのか 危機の原因と再生の条件』(勁草書房、2021年)、3ページ;Yoichi Funbashi, “Preface” in Yoichi Funabashi and G. John Ikenberry, eds., The Crisis of Liberal Internationalism: Japan and the World Order (Washington, D.C.: The Brookings Institution, 2020), p. vii; Yuki Moritani, “The Reconsideration of 2016 Crisis of Liberal International Order: Intersubjectivity and Literature Review as a Method,” The Journal of Social Science, 91 (2024), p. 88. [4] G. John Ikenberry, “Power and Liberal Order: America’s Postwar World Order in Transition,” International Relations of the Asia-Pacific, 5 (2005), p. 134; G. John Ikenberry, “The Future of the Liberal World Order: Internationalism After America,” Foreign Affairs, 90-3 (2011b), p. 57; G. John Ikenberry, “The Illusion of Geopolitics: The Enduring Power of the Liberal Order,” Foreign Affairs, 93-3 (2014), p. 80; Marjo Koivisto and Tim Dunne, “Crisis, What Crisis? Liberal Order Building and World Order Conventions,” Millennium: Journal of International Studies, 38-3 (2010), pp. 619-620; Marko Lehti et al., “Introduction,” in Marko Lehti, Henna-Riikka Pennanen, and Jukka Jouhki, eds., Contestations of Liberal Order: The West in Crisis? (Cham: Palgrave Macmillan, 2020), p. 3. [5] たとえば、COVID-19パンデミックについては、古城佳子「COVID-19と「自由主義国際秩序」 ―合意と懐疑―」『国際法外交雑誌』120巻1・2号(2021年)、339-349ページ;Henry A. Kissinger, “The Coronavirus Pandemic Will Forever Alter the World Order,” The Wall Street Journal (April 3, 2020). (https://www.wsj.com/articles/the-coronavirus-pandemic-will-forever-alter-the-world-order-11585953005 2024年3月5日最終閲覧); Hanns W. Maull, “The Coronavirus Pandemic and the Future of International Order,” Survival, 63-1 (2021), pp. 77-100. ロシアのウクライナ侵攻については、細谷雄一「動揺するリベラル国際秩序」『外交』72号(2022年)、6-11ページ;Dani Rodrik, “Taming the Security Dilemma,” Project Syndicate (March 9, 2022). (https://www.project-syndicate.org/commentary/new-world-order-avoiding-zero-sum-competition-by-dani-rodrik-2022-03 2024年3月5日最終閲覧) [6] 池嵜航一「リベラルな国際秩序の再検討 ―G・ジョン・アイケンベリーの議論を手がかりに―」『北大法学論集』70巻1号(2019年5月)、90ページ;Yuki Moritani, op.cit., p. 93. [7] David A. Lake, “Why “Isms” are Evil: Theory, Epistemology, and Academic Sects as Impediments to Understanding and Progress,” International Studies Quarterly, 55 (2011), p. 467; John J. Mearsheimer and Stephen M. Walt, “Leaving Theory behind: Why Simplistic Hypothesis Testing is Bad for International Relations,” European Journal of International Relations, 19-3 (2013), pp. 435-436. [8] 細谷雄一『国際秩序』(中央公論新社、2012年)、33ページ;細谷雄一「動揺するリベラル国際秩序」『外交』72号(2022年)、8ページ;Moritani, op.cit., pp. 91-93. [9] G. John Ikenberry, A World Safe for Democracy: Liberal Internationalism and the Crises of Global Order (New Haven and London: Yale University Press, 2020a), p. 40; Aaron McKeil, “On the Concept of International Disorder,” International Relations, 35-2 (2021), pp. 201-204. [10] Torbjørn L. Knutsen, A History of International Relations Theory (Manchester and New York: Manchester University Press, 1997), p. 4; Moritani, op.cit., p. 99. [11] Koivisto and Dunne, op.cit., p. 617. [12] 鶴岡路人「国際秩序をめぐる攻防の時代 ―序論―」『国際安全保障』45巻4号(2018年3月)、6ページ;Graham Allison, “The Myth of the Liberal Order: From Historical Accident to Conventional Wisdom,” Foreign Affairs, 97-4 (2018), p. 125; Hans Kundnani, “The Future of the Liberal International Order,” in Yuichi Hosoya and Hans Kundnani, eds., The Transformation of the Liberal International Order: Evolutions and Limitations (Singapore: Springer, 2024), p. 128; Hans Kundnani, What is the Liberal International Order? (Washington, DC: The German Marshall Fund of the United States, 2017), p. 1; David A. Lake et al., “Challenges to the Liberal Order: Reflections on International Organization,” International Organization, 75 (2021), pp. 229-230. [13] フッサール(浜渦辰二訳)『デカルト的省察』(岩波書店、2001年);Emanuel Adler, “Seizing the Middle Ground: Constructivism in World Politics,” European Journal of International Relations, 3-3 (1997), pp. 327-328; Dirk Nabers, “Towards International Relations beyond the Mind,” Journal of International Political Theory, 16-1 (2020), p. 94; Caitlin Sparks et al., “The Imagination and International Relations,” International Studies Quarterly, 66-3 (September 2022), p. 6. [14] たとえば、石田淳「国際秩序」中西寛ほか著『国際政治学』(有斐閣、2013年)、169ページ;Hedley Bull, The Anarchical Society: A Study of Order in World Politics (London: Red Globe Press, 2012), pp. 8-21; G. John Ikenberry, “Liberal Internationalism 3.0: America and the Dilemmas of Liberal World Order,” Perspectives on Politics, 7-1 (March 2009), p. 84. そもそも、「国際(international)」という語が、主権国家間における相互的な関係を意味するジェレミー・ベンサム(Jeremy Bentham)による造語である。篠田英朗『「国家主権」という思想 国際立憲主義への軌跡』(勁草書房、2017年)、53-54ページ;Jeremy Bentham, An Introduction to the Principles of Morals and Legislation (Oxford and New York: Oxford University Press, 1970), p. 296; Lorenzo Cello, “Jeremy Bentham’s Vision of International Order,” Cambridge Review of International Affairs, 34-1 (2021), p. 50. [15] たとえば、石田(2013年)、前掲論文、169-177ページ;Bentley B. Allan, Scientific Cosmology and International Orders (Cambridge, New York, Port Melbourne, New Delhi, and Singapore: Cambridge University Press, 2018), p. 5; William Bain, Political Theology of International Order (New York: Oxford University Press, 2020), p. 1; Bull (2012), op.cit., pp. 8-19; Alexander Cooley and Daniel Nexon, Exit from Hegemony: The Unraveling of the American Global Order (New York: Oxford University Press, 2020), p. 31; Ikenberry (2009), op.cit., p. 84; G. John Ikenberry, After Victory: Institutions, Strategic Restraint, and the Rebuilding of Order After Major Wars (Princeton and Woodstock: Princeton University Press, 2001), p. 23; Lake et al., op.cit., p. 228; Kyle M. Lascurettes, Orders of Exclusion: Great Powers and the Strategic Sources of Foundational Rules in International Relations (New York: Oxford University Press, 2020), p. 16; Kyle M. Lascurettes et al., “International Order in Theory and Practice,” Oxford Research Encyclopedia of International Studies (August 31, 2021). (https://oxfordre.com/internationalstudies/display/10.1093/acrefore/9780190846626.001.0001/acrefore-9780190846626-e-673;jsessionid=DF60A43141D8B6F07F09DF55A9367E46?rskey=P0pQss&result=1 2024年3月5日最終閲覧); Michael J. Mazarr et al., Understanding the Current International Order (RAND Corporation, 2016), p. 7; Georg Sørensen, A Liberal World Order in Crisis: Choosing Between Imposition and Restraint (Ithaca: Cornell University Press, 2011), p. 9; Shiping Tang, “Order: A Conceptual Analysis,” Chinese Political Science Review, 1 (2016), pp. 30-46. [16] Aaron McKeil, “On the Concept of International Disorder,” International Relations, 35-2 (2021), pp. 201-204. [17] Donald E. Lampert et al., “Is There an International System?” International Studies Quarterly, 22-1 (March 1978), p. 144; Ludwig von Bertalanffy, “An Outline of General System Theory,” The British Journal for the Philosophy of Science, 1-2 (August 1950), p. 135; Ludwig von Bertalanffy, “General System Theory: A New Approach to Unity of Science,” Human Biology, 23-4 (December 1951), p. 307. [18] たとえば、青野利彦「国際秩序の崩壊 1930年代の危機と第二次世界大戦」小川浩之ほか『国際政治史―主権国家体系のあゆみ』(有斐閣、2018年)、107ページ;島村直幸「<序説>国際秩序とは何か」『杏林社会科学研究』39巻1号(2023年9月)、24-30ページ;Ikenberry (2001), op.cit.; Henry Kissinger, World Order: Reflections on the Character of Nations and the Course of History (Penguin Books, 2014); Lascurettes, op.cit.; Mazarr et al., op.cit., p. 7. [19] Michael Clarke, “The Ending of Wars and the Ending of Eras,” The RUSI Journal, 160-4 (2015), p. 4. [20] たとえば、Cooley and Nexon, op.cit.; Alastair Iain Johnston, “China in a World of Orders: Rethinking Compliance and Challenge in Beijing’s International Relations,” International Security, 44-2 (2019), pp. 9-60; Mazzar et al., op.cit.; Patrick Porter, The False Promise of Liberal Order (Cambridge and Medford: Polity Press, 2020), pp. 32-33. [21] 石田(2013年)、前掲論文、183ページ;R.J. Vincent, “Hedley Bull and Order in International Politics,” Millennium: Journal of International Studies, 17-2 (1988), p. 199. [22] Hedley Bull, “International Law and International Order,” International Organization, 26-3 (1972), p. 584. [23] Bain, op.cit.; Aaron McKeil, “Order Without Victory: International Order Theory Before and After Liberal Hegemony,” International Studies Quarterly, 67 (2023), p. 2. [24] 石田(2013年)、前掲論文、173-211ページ;石田淳「序論 国際秩序と国内秩序の共振」『国際政治』147号(2007年1月)、1-2ページ。 [25] Knutsen, op.cit., p. 4. [26] 細谷雄一「新しい地政学の時代へ ―冷戦後における国際秩序の転換」北岡伸一、細谷雄一編『新しい地政学』(東洋経済新報社、2020年)、46-50ページ;McKeil (2023), op.cit., p. 6. [27] Timothy Garton Ash, “Europe’s Endangered Liberal Order,” Foreign Affairs, 77-2 (1998), pp. 52-64. [28] Ikenberry (2009), op.cit., pp. 72-84; Ikenberry (2020a), op.cit., p. 1; G. John Ikenberry, Liberal Leviathan: The Origins, Crisis, and Transformation of the American World Order (Princeton and Woodstock: Princeton University Press, 2011a), pp. 2-283. [29] Ikenberry (2009), op.cit., pp. 72-73; Ikenberry (2011a), op.cit., pp. 239-240; G. John Ikenberry, “Debating World Order: Sovereignty, Interdependence, and the Future of Liberal Modernity,” Oughtopia, 33-3 (2018a), p. 23; G. John Ikenberry, “The Emerging Great Power Concert? World Order After the Cold War,” The Korean Journal of International Studies, 23-4 (1992), pp. 549-550. [30] たとえば、Jeff D. Colgan and Robert O. Keohane, “The Liberal Order is Rigged: Fix It Now or Watch It Wither,” Foreign Affairs, 96-3 (2017), p. 37; Joseph S. Nye, Jr., “Will the Liberal Order Survive?: The History of an Idea,” Foreign Affairs, 96-1 (2017), p. 11. [31] たとえば、古城、前掲論文、341-343ページ;John J. Mearsheimer, “Bound to Fail: The Rise and Fall of the Liberal International Order,” International Security, 43-4 (2019), pp. 7-8; Bart M.J. Szewczyk, “Europe and the Liberal Order,” Survival, 61-2 (2019), pp. 36-37. [32] たとえば、納家政嗣「歴史の中のリベラルな国際秩序」『アステイオン』88号(2018年)、16ページ。 [33] Moritani, op.cit., p. 95. [34] Koivisto and Dunne, op.cit., p. 617. [35] Allison, op.cit., p. 125; Kundnani (2017), op.cit., p. 1; Kundnani (2024), op.cit., p. 128. [36] Ikenberry (2018a), pp. 21-29; G. John Ikenberry, “The Future of the Liberal World Order: Internationalism After America,” Foreign Affairs, 90-3 (2011), pp. 58-61; G. John Ikenberry, “Why the Liberal World Order Will Survive,” Ethics & International Affairs, 32-1 (2018b), pp. 22-24. [37] 田中宏明「リベラル国際主義の終焉とアメリカの対外政策 ―国際主義の限界と可能性―」『宮崎公立大学人文学部紀要』25巻1号(2018年)、82ページ;Fred Halliday, “Three Concepts of Internationalism,” International Affairs, 64-2 (1988), p. 187; Cecelia Lynch, “The Promise and Problems of Internationalism,” Global Governance, 5 (1999), p. 85. [38] 入江昭「国際主義の系譜」『比較法学』29巻2号(1996年)、147ページ;Halliday, op.cit., p. 187; Lynch, op.cit., p. 83. [39] 入江、前掲論文、149ページ;Haliday, op.cit., pp. 193-194; Lynch, op.cit., p. 96. [40] 入江、前掲論文、147-151ページ;Halliday, op.cit., p. 192; Lynch, op.cit., pp. 95-96. [41] Ian Clark and Christian Reus-Smit, “Liberal Internationalism, the Practice of Special Responsibilities and Evolving Politics of the Security Council,” International Politics, 50-1 (2013), pp. 38-39; Alexander Cooley, “Ordering Eurasia: The Rise and Decline of Liberal Internationalism in the Post-Communist Space,” Security Studies, 28-3 (2019), pp. 589-603; Antonio Franceschet, “The Ethical Foundation of Liberal Internationalism,” International Journal, 54-3 (1999), pp. 466-481; Stanley Hoffmann, “The Crisis of Liberal Internationalism,” Foreign Policy, -98 (1995), pp. 160-177; Ian Hurd, “The Strategic Use of Liberal Internationalism: Libya and the UN Sanctions, 1992-2003,” International Organization, 59 (2005), pp. 500-510; Beate Jahn, “Liberal Internationalism: Historical Trajectory and Current Prospects,” International Affairs, 94-1 (2018), pp. 43-45; Roland Paris, “Peacebuilding and the Limits of Liberal Internationalism,” International Security, 22-2 (1997), pp. 55-59. [42] 佐々木豊「第二次世界大戦中の連合国の戦後処理構想 ―「リベラルな国際主義」に基づく戦後秩序の制度設計とその遺産―」『研究論叢』85号(2015年)、3ページ;田中、前掲論文、82-86ページ;Stephen Chaudoin et al., “The Center Still Holds: Liberal Internationalism Survives,” International Security, 35-1 (2010), pp. 76-77; Richard N. Gardner, “The Comeback of Liberal Internationalism,” The Washington Quarterly, 13-3 (1990), pp. 23-24; Charles A. Kupchan and Peter L. Trubowitz, “Dead Center: The Demise of Liberal Internationalism in the United States,” International Security, 32-2 (2007), pp. 7-10. [43] たとえば、Anthony Arblaster, The Rise and Decline of Western Liberalism (Oxford and New York: Basil Blackwell, 1984), pp. 7-91; John Dunn, Western Political Theory in the Face of the Future (Cambridge, New York, and Melbourne: Cambridge University Press, 1979), p. 32. [44] バンジャマン・コンスタン(大石明夫訳)「「近代人の自由と比較された古代人の自由について」 ―一八一九年、パリ王立アテネ学院における講演―」『中京法學』33巻3・4号(1999年)、173ページ;Michael W. Doyle, “Liberalism and World Politics,” American Political Science Review, 80-4 (December 1986), p. 1152; Lehti et al., op.cit., p. 5; James L. Richardson, “Contending Liberalisms: Past and Present,” European Journal of International Relations, 3-1 (1997), pp. 5-33; Sørensen, op.cit., pp. 28-65. [45] Duncan Bell, “What is Liberalism?” Political Theory, 42-6 (2014), pp. 689-690. [46] Dunn, op.cit., p. 32. [47] フッサール『デカルト的省察』;Moritani, op.cit., pp. 91-95; Nabers, op.cit.. p. 94; Sparks et al., op.cit., p. 6. [48] Gene V Glass, “Primary, Secondary, and Meta-Analysis of Research,” Educational Researcher, 5-10 (November 1976), p. 4; Moritani, op.cit., pp. 93-95; Hannah Snyder, “Literature Review as a Research Methodology: An Overview and Guidelines,” Journal of Business Research, 104 (2019), p. 334. [49] 明確な分類に限らず、具体的なリベラルな要素や特徴に言及する上で異なる側面に切り分けた記述も見られる。たとえば、Lake et al., op.cit., pp. 230-232; Fredrik Söderbaum et al., Contestations of the Liberal International Order: A Populist Script of Regional Cooperation (Cambridge, New York, Port Melbourne, New Delhi, and Singapore: Cambridge University Press, 2021), p. 1. [50] 政策シンクタンクPHP総研、前掲書、14ページ。 [51] Kundnani (2017), op.cit., p. 1; Kundnani (2024), op.cit., p. 128. [52] Daniel M. Kliman and Richard Fontaine, Global Swing States: Brazil, India, Indonesia, Turkey and the Future of International Order (Washingotn, DC: The German Marshall Fund of the United States and Center for a New American Security, 2012), pp. 8-9. [53] The Global Agenda Council on the United States, Strengthening the Liberal World Order (World Economic Forum, 2016), p. 6. [54] なお、以降の整理からも伺えるように、リベラルな特徴や要素はそれぞれが分類された類型の垣根を越えて相互補完的であり、独立しているわけではない。また、紙面上の制約や手法上の限界もあって完全に網羅的なレビューがなされているわけではないが、可能な限りにおいて代表的かつ重要な特徴や要素に着目して整理を行った。 [55] The Global Agenda Council on the United States, op.cit., p. 6; Kliman and Fontaine, op.cit., pp. 8-9; Kundnani (2017), op.cit., p. 1; Kundnani (2024), op.cit., p. 128; 政策シンクタンクPHP総研、前掲書、14ページ。 [56] 実際の国家間関係の特徴に着目せず、民主主義国の集合体や協力体制等をLIOとほぼ同一視する議論も多いが、それらの誤りをアイケンベリーは明確に批判している。Ikenberry (2020), op.cit., pp. 18-19. [57] カール・シュミット(樋口陽一訳)『現代議会主義の精神史的状況 他一篇』(岩波書店、2015年)、20-32ページ。 [58] Larry Diamond, “Elections Without Democracy: Thinking About Hybrid Regimes,” Journal of Democracy, 13-2 (2002), pp. 23-24; Fareed Zakaria, “The Rise of Illiberal Democracy,” Foreign Affairs, 76-6 (1997), p. 22. こうした自由民主主義の成立と機能には市民的自由の存在が要素として不可欠である。これは本稿が政治的なリベラルな要素と特徴に分類するところのみならず、社会的なリベラルな要素と特徴の分類にも大きく関わるものである。 [59] 市原麻衣子ほか「重層化する国際秩序と日本 ―キーワードで読み解く外交課題」『外交』71号(2022年)、19-20ページ;Larry Diamond, “The Democratic Rollback: The Resurgence of the Predatory State,” Foreign Affairs, 87-2 (2008), p. 36; Francis Fukuyama, “Liberalism and Its Discontents,” American Purpose (October 5, 2020). (https://www.americanpurpose.com/articles/liberalism-and-its-discontent/ 2024年3月5日最終閲覧) [60] 納家政嗣「自由主義と国際秩序」『一橋論叢』125巻4号(2001年4月)、59ページ。 [61] 鈴木一人「日本はリベラル国際秩序の担い手になりえるのか」『国際政治』196号(2019年3月)、128ページ;Francis Fukuyama, “The End of History?” The National Interest, 16 (1989), pp. 3-4; Francis Fukuyama, The End of History and the Last Man (London: Penguin Books, 2012), pp. 3-12; Ikenberry (2020a), op.cit., p. 1; G. John Ikenberry, “The Next Liberal Order: The Age of Contagion Demands More Internationalism, Not Less,” Foreign Affairs, 99-4 (2020b), p. 137. [62] 政策シンクタンクPHP総研、前掲書、15ページ;Gideon Rose, “The Fourth Founding: The United States and the Liberal Order,” Foreign Affairs, 98-1 (2019), pp. 12-14. [63] しかし、特にアメリカは民主化を目的とした軍事介入も行ってきた。これらについては「リベラルな介入主義」としてリベラルな要素を有するものとされつつも、帝国主義的なものであると批判的に論じられてきたと言える。たとえば、Marc G. Doucet, “The International Order of Liberal Humanitarian Intervention,” International Studies Review, 16-3 (September 2014), pp. 467-472; Zubairu Wai, “The Empire’s New Clothes: Africa, Liberal Interventionism and Contemporary World Order,” Review of African Political Economy, 41-142 (2014), pp. 490-493. [64] Ikenberry (2009), op.cit., p. 79; Kliman and Fontaine, op.cit., pp. 8-9; Kundnani (2017), op.cit., p. 6. [65] 鈴木一敏「貿易 ―問題の多様化と利害の交錯―」西谷真規子、山田高敬編『新時代のグローバル・ガバナンス論 ―制度・過程・行為主体―』(ミネルヴァ書房、2021年)、254ページ;納家政嗣「力の構造と国際政治体制」野林健ほか著『国際政治経済学・入門』(有斐閣、2007年)、69ページ;野林健「保護貿易をめぐる政治と経済」野林健ほか著『国際政治経済学・入門』(有斐閣、2007年)、126ページ。 [66] 政策シンクタンクPHP総研、前掲書、14ページ。 [67] 納家政嗣「冷戦とブレトンウッズ体制」野林健ほか著『国際政治経済学・入門』(有斐閣、2007年)、95ページ;長尾悟「グローバル・レベルの国際秩序の模索」野林健ほか著『国際政治経済学・入門』(有斐閣、2007年)、242ページ;野林、前掲論文、128ページ。 [68] 鈴木、前掲論文、254ページ;長尾、前掲論文、246ページ;Kliman and Fontaine, op.cit., p. 8; Kundnani (2017), op.cit., pp. 5-6; The Global Agenda Council on the United States, op.cit., p. 4 [69] 納家政嗣「力の構造と国際経済体制」野林健ほか著『国際政治経済学・入門』(有斐閣、2007年)、75-76ページ。 [70] 納家(2001年)、前掲論文、59ページ;Leon Fink, Undoing the Liberal World Order: Progressive Ideals and Political Realities Since World War II (New York and Chichester, Columbia University Press, 2022), p. 1;
[70] たとえば、Kundnani (2017), op.cit., p. 5. [71] トーマス・セドラチェク、オリヴァー・タンツァー(森内薫、長谷川早苗訳)『続・善と悪の経済学 資本主義の精神分析』(東洋経済新報社、2018年)、54-55ページ;野林健「「経済」の論理と「政治」の論理」野林健ほか著『国際政治経済学・入門』(有斐閣、2007年)、6ページ;Geoffrey M. Hodgson, “Varieties of Capitalism: Some Philosophical and Historical Considerations,” Cambridge Journal of Economics, 40 (2016), pp. 951-955; Elaine Sternberg, “Defining Capitalism,” Economic Affairs, 35-3 (2015), p. 385. [72] 納家(2001年)、前掲論文、59ページ;Leon Fink, Undoing the Liberal World Order: Progressive Ideals and Political Realities Since World War II (New York and Chichester, Columbia University Press, 2022), p. 1;
[72] たとえば、Kundnani (2017), op.cit., p. 5. [73] 鈴木、前掲論文、116-122ページ;納家(2018年)、前掲論文、23-26ページ;Richard W. Mansbach and Yale H. Ferguson, Populism and Globalization: The Return of Nationalism and the Global Liberal Order (Cham: Palgrave Macmillan, 2021), pp. 3-20; Vittorio Emanuele Parsi, The Wrecking of the Liberal World Order, trans. Malvina Parsi (Cham: Palgrave Macmilan, 2021), pp. 3-4; Dani Rodrik, The Globalization Paradox: Why Global Markets, States, and Democracy Can’t Coexist (New York: Oxford University Press, 2011), pp. 184-206; Jack Snyder, “The Broken Bargain: How Nationalism Came Back,” Foreign Affairs, 98-2 (2019), pp. 54-60. [74] Daniel Deudney and G. John Ikenberry, “The Nature and Sources of Liberal International Order,” Review of International Studies, 25 (1999), pp. 192-195. [75] ヘーゲル(上妻精ほか訳)『法の哲学 (下) ―自然法と国家学の要綱』(岩波書店、2021年)、75-180ページ;Jens Bartelson, “Making Sense of Global Civil Society,” European Journal of International Relations, 12-3 (2006), p. 377, Mary Kaldor, Global Civil Society: An Answer to War (Cambridge and Malden: Polity Pres, 2003b), p. 18; Mary Kaldor, “The Idea of Global Civil Society,” International Affairs, 79-3 (2003c), pp. 584-585. [76] Manuel Castells, “The New Public Sphere: Global Civil Society, Communication Networks, and Global Governance,” The ANNALS of the American Academy of Political and Social Science, 616 (March 2008); Mary Kaldor, “Civil Society and Accountability,” Journal of Human Development, 4-1 (2003a), pp. 5-20. 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[81] 政策シンクタンクPHP総研、前掲書、15ページ。 [82] アイケンベリー、前掲論文、369ページ;守谷優希「国際関係の重要課題としてのメタバース国家の登場:ツバルのメタバース国家化の政策リサーチと国家概念再考への一歩」『筑波法政』92号(2024年)、53ページ;Hunt Allcott and Matthew Gentzkow, “Social Media and Fake News in the 2016 Election,” Journal of Economic Perspectives, 31-2 (2017), pp. 211-236; Alexandre Bovet and Hernán A. Makse, “Influence of Fake News in Twitter During the 2016 US Presidential Election,” Nature Communication, 10-7 (2019); Ivor Gaber and Caroline Fisher, ““Strategic Lying”: The Case of Brexit and the 2019 U.K. Election,” The International Journal of Press/Politics, 27-2 (2022), pp. 460-477; Maximilian Höller, “The Human Component in Social Media and Fake News: The Performance of UK Opinion Leaders on Twitter During the Brexit Campaign,” European Journal of English Studies, 25-1 (2021), pp. 80-95. [83] Emanuel Adler and Alena Drieschova, “The Epistemological Challenge of Truth Subversion to the Liberal International Order,” International Organization ,75 (2021), pp. 359-86; Henry Farrell and Abraham L. Newman, “The Janus Face of the Liberal International Information Order: When Global Institutions are Self-Undermining,” International Organization, 75 (2021), pp. 333-358. [84] 青井千由紀『戦略的コミュニケーションと国際政治』(日経BP、2022年)、109-205ページ;森聡「リベラル覇権秩序の正統性の劣化 ―規範構造からみた国際秩序の変容」森聡編著『国際秩序が揺らぐとき―歴史・理論・国際法からみる変容』(千倉書房、2023年)、190-193ページ;Adler and Drieschova, op.cit.; Alexander Lanoszka, “Disinformation in International Politics,” European Journal of International Security, 4 (2019), pp. 227-248. [85] 政策シンクタンクPHP総研、前掲書、14ページ;納家(2018年)、前掲論文、18ページ;細谷雄一「リベラルな国際秩序と日本外交」『国際問題』690号(2020年4月)、7ページ;Moritani, op.cit., pp. 95-98; Szewczyk, op.cit., p. 34. [86] Gabriel Abend, “The Meaning of ‘Theory’,” Sociological Theory, 26-2 (June 2008), pp. 173-199. [87] 細谷雄一「監訳者あとがき」G・ジョン・アイケンベリー著(細谷雄一監訳)『リベラルな秩序か帝国か (下) アメリカと世界政治の行方』(勁草書房、2012年)、263ページ;Andrew Moravcsik, “Taking Preferences Seriously: A Liberal Theory of International Politics,” International Organization, 51-4 (1997), pp. 514-547; Bruce Russett, “Liberalism,” in Tim Dunne, Milja Kurki, and Steve Smith, eds., International Relations Theories: Discipline and Diversity (New York: Oxford University Press, 2016), pp. 68-86; Jennifer Sterling-Folker, “Neoliberalism,” in Tim Dunne, Milja Kurki, and Steve Smith, eds., International Relations Theories: Discipline and Diversity (New York: Oxford University Press, 2016), pp. 88-104.. [88] 柳井俊二「国際社会における法の支配 希望、挫折、展望」『国際問題』666号(2017年11月)、3ページ。 [89] 篠田英朗「国連と法の支配の現在」『国際問題』666号(2017年11月)、10ページ。 [90] G. John Ikenberry, “Institutions, Strategic Restraint, and the Persistence of American Postwar Order,” International Security, 23-3 (1998-1999), p. 45; G. 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[102] マックス・ウェーバー(尾高邦雄訳)『職業としての学問』(岩波書店、2016年)、59-60ページ;Bull (1972), op.cit., p. 588.
一橋大学大学院法学研究科 法学・国際関係専攻 博士後期課程。筑波大学、常磐大学、工学院大学にて非常勤講師として教鞭を執る。国際・行政修士(専門職)。