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2024年4月1日に、法学研究科の市原麻衣子教授が執筆した記事、「中国共産党が狙った日韓・日台関係へのくさび ―第三国の社会を標的にする影響工作」がForesightに掲載されました。本記事で市原教授は、対象国と第三国の連携を阻害する目的で、第三国社会を対象として行われる影響工作について論じています。市原教授は、影響工作の最大の目的は、対象国を分極化させ不安定化させることにあり、対象国だけを狙う二国間のものだけでなく、近年は国家間連携にくさびを打ち込む目的で影響工作が行われることもしばしばあると説明しました。顕著な事例として、福島第一原発処理水放出を巡る言説を挙げ、中国共産党が処理水を巡る偽情報を特に韓国や台湾で拡散させることで、これらの社会における反日感情を増幅させ、日韓・日台関係にくさびを打ち込もうとしたと述べました。さらに、日本社会に対しても同様の影響工作があると指摘し、典型例として日韓の離反を狙った嫌韓感情醸成のためのナラティブ拡散を挙げました。最後に、偽情報や歪められた情報による悪影響を最小限に食い止めるためには、国境を超える情報共有ネットワークを構築し、調査・研究協力を強化する必要があると強調しました。