民主主義・人権プログラム
【GGR 共催イベント】日本香港民主主義サミット
日にち2024年6月17日
時間9:00-17:30
開催場所第3研究館会議室
イベント概要

6月17日から19日までの3日間、グローバル・ガバナンス研究センター(GGR)は一橋大学においてレディ・リバティー香港と協力し、「日本香港デモクラシーサミット2024」と題したイベントを開催しました。地域における課題を明らかにし、重要な変化をリードする日本独自の立場を取り上げることを目的としました。初日は一般公開されました。

17日のセッションは、市原麻衣子教授とアルリック・リー(Alric Lee)氏によるサミットの意義についての挨拶から始まり、「日本の戦略的影響力 ―民主主義を求める香港の戦いに対する世界的認知度を維持する上で」をテーマに、対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)の日本コーディネーターである菅野志桜里氏と中国研究が専門の阿古智子東京大学教授による議論が行われました。このセッションでは、香港の民主化運動における日本の役割を形成してきた歴史、経済、文化、地政学的な背景や具体的な状況について議論されました。

第二セッションでは、「権威主義の影響力に対抗する市民社会の重要な役割」と題して、呉豪人輔仁大学教授が進行役を務め、権威主義を押し返す市民社会の役割について議論しました。呉教授は、市民社会が権威主義体制を押し返すことに成功した事例を紹介し、香港と台湾の今後の課題について言及しました。 このセッションの重要な概念のひとつは「アーティヴィズム」であり、これはアートとアクティビズムを組み合わせた表現活動を指しています。続いて、中央研究院台湾史研究所準究員の呉睿仁氏が、「自由の黒潮 ー亡命者の台湾・香港ナショナリズム」と題しディスカッションを行いました。呉(睿仁)氏は、2010年代における香港ナショナリズムの高まりと活動の帰結、そして台湾と香港の民主化運動が他のアジア諸国に与える影響について言及しました。

午後のセッションは、2部構成で行われました。まず、活動家のフィン・ロー(Finn Lau)氏が「香港は勝ったのか? ―戦略を振り返り、共通の未来を再構築する」と題して講演を行いました。ロー氏は、国際的な反響や歴史的背景を含め、2019年から2020年にかけて時系列で香港デモの経緯を説明しました。また彼は香港に必要な自由を回復するために、アイデンティティの強化や国際的支援、経済戦略など、6つの計画を提案しました。続いて、コーネリウス・ハヌン(Cornelius Hanung)氏が進行役を務め、「障壁を乗り越える ―抑圧的政治体制下におけるジャーナリスト強化と情報の自由確保」と題した議論を行いました。議論は、ニュース報道やフォトジャーナリズムなど、ミャンマーにおけるジャーナリズム活動を中心に、その地域で活動する記者の危険性についても言及されました。

 

 

【レポート作成者】

ハニグ ヌニュズ サシャ(一橋大学法学研究科博士後期課程)

 

【日本語翻訳者】

熊坂健太(一橋大学国際・公共政策大学院修士課程)