2024年4月に、法学研究科の中西優美子教授が執筆した記事、「EU法の制定・改正の流れと今後のEU環境法を考える」が『月刊 化学物質管理』に掲載されました。本記事で、中西教授は、気候変動や生物多様性保護等、環境分野において世界の中でリーダーシップをとるEUについて、まず基本的なEU措置の採択にかかわる機関や採択のための権限について説明した後に、今後のEU環境法についての展望を述べました。中西先生は、まずEUの環境に関わる措置の権限は、EU基本条約(欧州連合条約と欧州運営条約)に規定されており、欧州連合が環境にかかわる様々な措置を採択できることを幾つかの例を交えて説明しました。続いて、EUの環境政策のなかで特に予防原則と汚染者負担の原則について言及し、それぞれ「科学的根拠が不十分であり、因果関係が証明できない 場合」でも予防的措置が取られることや、拡大生産者責任が問われることで日本に大きな影響を及ぼしたことについて言及しました。続いてEU法の制定と改正についての章では、通常立法手続や特別立法手続き、改正措置について説明しました。ここでは、既存の措置に新しい措置が置き換わる場合に触れ、EU措置が最初から完璧なものを作るのではなく、Learning by doingの形で改善されていくことについて言及しました。最後に、中西教授は、今後のEU環境法の流れとして、気候変動対策、循環経済(サーキュラーエコノミー)、将来世代のそれぞれを説明し、日本においても単にEU基準に合わせると言う小手先の対処ではなく、明確な方向性を示し企業が安心して技術革新を進めることができる基盤の重要性を指摘し結びとしました。
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202402258203023776