民主主義・人権プログラム
【GGRブラウンバックランチセミナー】「民主主義を装う権威主義 ―世界化する選挙独裁とその論理」
日にち2024年1月22日
時間12:30-13:30
開催場所マーキュリータワー3302室
イベント概要

2024年1月22日、一橋大学グローバル・ガバナンス研究センター(GGR)は東島雅昌先生(東京大学社会科学研究所准教授)を講師にお招きし、第24回GGRブラウンバックランチセミナー「民主主義を装う権威主義 ―世界化する選挙独裁とその論理」を開催しました。

東島先生は、まず政治体制を「誰が政治指導者の選出に影響を有しているかを決定する諸ルール」と定義したうえで、民主主義と権威主義それぞれの定義、分類及び特徴を紹介し、民主主義には、執行府の首長が選挙で選ばれること、代替な選択肢があること、自由で公平な競争があること、市民の参政権があることの四つの特徴があり、権威主義にはこれらのいずれかが欠如していると指摘しました。そして、世界の選挙からどのような要素が欠落しているかを分類し、権威主義の多様性を紹介しました。その上で、権威主義国では独裁者がどのような手段を通じて「選挙結果の信憑性」と「選挙勝利の確実性」とのジレンマを緩和するかについて、カザフスタンとキルギスタンの例を用い、選挙操作と経済操作の面から論じました。結論として、現代の権威主義は「暴力の行使」より、経済分配や選挙ルールの改変など、露骨ではないやり方で政権を維持しようとする傾向があると指摘しました。

質疑応答セッションでは、様々な独裁形態の選挙不正上の違い、選挙操作の失敗の原因、香港の選挙制度の変貌などに関する質問が提起されました。東島先生は、軍事独裁の場合は組織化が弱いため不正の可能性が低くなるのに対し、制度独裁の場合、特に天然資源に乏しい場合に不正が見られる傾向があると論じました。

【イベントレポート作成】

厳豊(一橋大学大学院法学研究科 修士課程)