要旨
2023年10月16日に、国際・公共政策大学院院長の秋山信将教授が執筆した論文、「日本はどのように拡大抑止の信頼性を強化すべきか?」が日本国際問題研究所のAJISS-Commenttaryに掲載されました。本論文では、ロシアのウクライナ侵攻を経て、拡大抑止への信頼が揺らぐ国際情勢において、日本の拡大抑止の信頼性を高める努力としての「拒否的抑止」にとどまらない「懲罰的抑止」能力の構築、脅威削減のための外交的イニシアティブを追求することの重要性に関して考察しています。秋山教授は、日本の安全保障にとって米国との拡大抑止体制の強化が不可欠であることは当然だが、今必要なのは、日米が他のパートナー諸国と協力して、抑止体制を構成する戦略資産を構築するために迅速に実施できる行動計画、脅威の状況に応じて最適化された戦略資産を効果的に運用するための日米同盟の調整メカニズム、そして確固たる政治的基盤であると指摘しました。また、東アジアの地域レベルで中国による強圧的な行動の余地を増やさないようにするため、日米をはじめとするパートナー諸国が、中国や北朝鮮に対して緊密に連携した統一的なシグナルを発信することが不可欠であり、それと同時に、危機の安定を確保し、将来の軍備管理につながる信頼を構築するために、中国や北朝鮮との戦略的対話を通じた外交努力が必要であると述べました。