要旨
2023年7月31日に、国際・公共政策大学院院長の秋山信将教授が執筆した論文、「核軍備管理・軍縮の新しいフェーズ」が『外交』に掲載されました。本論文は、大国間の軍備管理に必要なレジームの新たな構造計算の構成要素の分析と、その帰結としての核軍縮の基盤を築く方法について考察しています。秋山教授は、冷戦期に構築された軍備管理レジームにおける関連国の目的とレジームを維持させた諸原理がもはや十分に機能していないと指摘しました。その原因として、軍備管理レジームの当事国間の政治的関係の最低限の見解の一致、すなわちガードレールに対して見解の乖離が発生していると論じました。さらに、中国の台頭により、技術的・量的な軍備拡大と中国が有する軍備にかかわる戦略・戦力の不透明性故に、軍備管理レジーム再構築に複雑性が増したと説明しました。これらの問題を目前に、秋山教授は大国間の核政策における原理的見解の差異を解消し、そして外交や経済をも組み合わせて危機を管理する統合軍備管理が必要であると述べました。