書評:The Dictator’s Dilemma at the Ballot Box: Electoral Manipulation, Economic Maneuvering, and Political Order in Autocracies [in English]
要旨
2023年2月に一橋大学大学院法学研究科専任講師・GGR研究員のウ・ユジン先生が執筆した書評が、米国の雑誌Governanceに掲載されました。ウ先生は東北大学大学院情報科学研究科で准教授を勤めている東島雅昌氏の著書『The Dictator's Dilemma at the Ballot Box: Electoral Manipulation, Economic Maneuvering, and Political Order in Autocracies』をレビューしました。本書で東島氏は、「選挙のジレンマ」という概念を導入し、これを用いて、権威主義体制において選挙が果たす役割や、選挙の透明性と不透明性のバランスが体制の存続にいかに関わってくるかを説明しています。ウ先生は、著者が政治体制を分析するための様々な次元やツールを考慮した統一的な理論を構築し、権威主義に対する理解を広げたことを高く評価しています。また、民主主義国家と独裁国家におけるメディアと露骨な選挙違反の関係など、本書に関連する様々な側面について、さらなる研究が必要であると指摘しています。