要旨
自由度や人権状況を表すFreedom in the World レポートで知られる米国の機関フリーダム・ハウスは、2022年9月、Beijing’s Global Media Influence 2022という特別報告書を発表しました。GGRアシスタントであるサスチャ・ハニグ・ヌニェズ氏は同レポートの中で、チリにおける中国の偽情報や影響力の度合いについての箇所を共同執筆しました。報告書自体は、世界数十カ国のデジタル、報道、視聴覚メディアにおける中国の影響力工作を探り、中国国民に対する不当対応(過剰反応として)と、表現の自由と民主主義を守る回復力のメカニズムも明らかにしています。本書の成果として、中国国営メディアはもとより、公務員や外交官にも共通する慣習が確認されました。また、ハニグ氏が担当したチリでは、パンデミック時の中国のネガティブなイメージに対抗し、民主主義と並列的な概念を作り出すことを目的として、チリの伝統的なメディアの中に中国がナラティブを変革するような試みを広告や共同出版という形で組み入れていることが筆者等によって解明されました。興味深いことに、北京のシナリオを主に支持していたのはチリのエリート層であり、ジャーナリストや市民社会はこの影響工作を暴き続けていることもわかりました。この報告書は、ボイス・オブ・アメリカ(英語版と中国語版)やチリの独立系メディアEx Anteなどのメディアで引用されました。
出版物リンク
チリについて: https://freedomhouse.org/country/chile/beijings-global-media-influence/2022
フリーダムハウスレポート全体: https://freedomhouse.org/si/node/5512