リーガル・イノベーションプログラム
アメリカ労働組合運動の再興? 投票での勝利の法的意味とその先にある長い道のり
出版日2022年8月号
書誌名世界
著者名中窪裕也
要旨 新型コロナウィルスや最近の物価上昇を契機としてアメリカの組合運動が活発になり、スターバックス、アマゾンという有名企業で労働組合が代表選挙で勝利を収めました。中窪教授はこの二大企業の事例を素材としながら、選挙の意義や仕組みについて法的観点から論じています。本記事では多数決に基づく排他的な交渉というアメリカ独自の法制が紹介され、その下での労働組合の組織化活動、選挙の申請、選挙キャンペーン、投開票による結果の確定という過程について説明がなされます。さらに、組合が選挙で勝利して団体交渉が開始されても、1年以内に労働協約が締結されない場合には交渉代表の地位を失う可能性もあり、組合の存在が定着するまでは長い道のりがあるとの指摘もなされています。法律改正が実現する見込みは低いため組合にとって厳しい状況は続くものの、時代の変化によって組合が見直される兆しもあり、今後が注目されると中窪教授は述べています。